2011年までの日本ではシルバーのボディカラー人気が根強く、中古車市場を見てもあらゆる車種でシルバーの在庫が目立つのが特徴的です。しかしその後、白い車が全体の3～4割を占めるようになり、人気のボディカラーの順位が白→黒→シルバーの順に入れ替わることになりました。このボディカラーの人気の推移は社会の流れと密接な関係があり、この先もまだまだ白黒人気は続きそうです。世界的には車のボディカラー人気に日本との違いはあるのでしょうか？各国別の人気ボディカラーの特徴についても触れていきたいと思います。
世界共通の人気カラーは白！その理由は？
グレー、シルバーが一番人気のインドを除いて、世界共通して白のボディカラーがダントツの人気色になっているようです。お国柄も、国民性も、車のデザインも、もっと深く言えば景色さえも違う各国別のボディカラー人気に白が集中するのはなぜでしょうか？この疑問をひも解くカギは、白い車体でいることのメリットが多いにあるからだと考えられます。そのメリットを日本人のみならず世界中の人が同じように感じているとしたら、大変興味深いデータとなるのではないでしょうか。
① 目立つから
道路の白線が白であるように、人間の目に飛び込みやすい白色は事故率が低いことで知られています。
それは特に夜間に発揮される特徴で、ライトで反射しやすく通行人や対向車の目に遠くからでも入りやすいのが一番のメリットです。スポーツ選手や企業の経営者中には、同じ理由から身の安全を確保するために白い車を選んでいるという人もいるほどです。
② キズや汚れが目立ちにくいから
すぐに直すほどにはならないけれどちょっと擦ってしまった、子供が乗り降りする時にできる小傷がたくさんある、洗車する場所がなかなかない…そんなお悩みも白いボディカラーなら目立たずストレスも軽減されます。どうしても白やシルバー以外の塗装の車は傷がつくと白く跡が入ってしまうので、少しのキズでも見た目の印象が台無しに見えてしまうものです。
③ 太陽の光を反射するから
日本だけでなく世界的に気温が上昇して、猛暑のレベルが尋常ではなくなってきた昨今。2位の黒いボディカラー人気と一線を画す白の強みは、光を反射するところにあります。黒は太陽の熱を吸収しやすく車内の温度が上昇しやすくなるのではないか、また紫外線を集めやすくなるのではないかなど、運転する女性が増えた背景にもボディカラー人気の推移が関係してくるようです。
④ 他のカラーと違って癖がなく好印象だから
色の強い車にこだわって乗る人もいると思いますが、日本人の多くは受け入れられやすいことも重視しています。仕事にも使う機会がある車では特に相手の印象を左右しかねないので、白という無難な色が好まれやすい傾向にあります。日本では同じ白でもパールホワイトの人気が根強いので、車選びにエレガントさや奥ゆかしさなども求められていることがよくわかりますね。
⑤ 売却する時に値段が落ちないから
堅実な日本人らしい車選びの重要項目に挙がるのは、売却する時の価値です。白が人気で新車も白で購入されることが一番多いので、必然的に中古車も白が多く出回り、結果的に白のボディカラーの割合が一定数になり続けるサイクルが出来上がっています。同じ理由で、黒が好きな人は黒、シルバーが好きな人はシルバーの車に乗り継ぐ確率が高いので、人気ボディカラーランキングはそのまま売却する時に値崩れしにくいランキングにもなるというわけです。
その他の国別人気ボディカラーの特徴は？
同じアメリカ国内でも、比較的気温の低い地域では赤が人気で、南に寄るにつれて白が根強い人気となっています。寒い気候においては温かみを感じる暖色が選ばれやすく、気温の高い地域では日本のように車内の温度が上がりにくいイメージのある白が選ばれやすいようです。他にも、ヨーロッパ圏では白の他にブルー系のボディカラーが人気で、クラッシックな街並みに馴染む深みのある色合いが上位に入る傾向にあります。中国の富裕層の間では黒い車で重厚感を出すのが流行しており、今後もその人気カラーの傾向は続きそうです。これは日本の若者の間にも通じる点で、SUVやワンボックスカーでは黒の人気が高いことが知られています。
まとめ
気候も、国民性も、車のデザインも各国別で大きな違いがあるにもかかわらず、人気のボディカラーは普遍的な白であるという点は大変興味深いポイントですね。日本人らしい堅実さや奥ゆかしさを感じる白がシルバーを抑えて1位になった背景には、バブルの崩壊とともにギラギラした印象を避けたい狙いもあったようです。このように、世相からも影響を受ける車の人気色のバリエーションは、今後どのように推移していくのかまだまだ目が離せませんね。
皆さんも車を選ぶ時にボディカラーを迷ったら、これらのポイントを参考にしてみてはいかがでしょうか。
