遺産相続などと聞くと、ほとんどの方が故人の不動産や預貯金の事をイメージすると思いますが、実は自動車に関しても相続される遺産に含まれると言う事をご存知でしょうか?
「えっ!初めて聞いた…」と言う方は注意が必要ですよ。なぜかと言うと、祖父母やご両親などが亡くなった際、故人の方が使用していた自動車を廃車しようと思っても、『相続財産』である為、スムーズに廃車することが出来ないなんてことがあるのです。
そこで今回は、故人が使用していた自動車の相続について、名義変更に必要になる書類、その後の自動車の扱いなど、自動車の相続に関する様々な情報をまとめてご紹介していきたいと思います。
万が一の時の為に、本稿でご紹介する内容は覚えておいた方がいいですよ!

故人の自動車は相続後、名義変更の必要があります

ご家族が亡くなった時には、葬儀や初七日といった法要を進めなければいけません。しかし、それが終われば、悲しみに暮れる間もなく遺産相続の手続きに取り掛かる必要があるのです。遺産相続と言えば故人の預貯金や現金、貴金属に不動産といった物がイメージされるものですが、冒頭でもご紹介した通り、自動車も遺産に含まれるのです。
したがって、故人の自動車は誰が相続するのかを決めたうえで、まず名義変更が必要になるのです。そしてその後、相続人が使用し続けるのか?処分するのか?と言う事を決めていくと言う流れになります。因みに、故人の自動車を相続する場合には、2つのパターンがあります。それは、

  • 誰か一人の相続人が自動車を単独相続する場合
  • 複数の相続人で自動車を共同相続する場合

上記の様な2パターンが存在します。それでは、以下で2つのパターンでの自動車の名義変更に必要な書類をご紹介しましょう。

個人が自動車を単独相続する場合

まずは、故人が所有していた自動車を、誰か一人の相続人が譲り受けると言うパターンです。この場合、持ち主を新たに1人決めて名義変更すると言うイメージですね。
自動車の名義変更手続きは、所有者の変更があってから15日以内に手続きをするよう定められています。したがって、故人の自動車を相続した場合には、出来るだけ早く名義変更を行いましょう。

単独相続での名義変更に必要になる書類

  • 申請書(第1号様式)
    運輸支局の窓口で配布しているので、陸運支局で手に入れて記入しましょう。書き方例なども用意されていますので、そこまで記載するのに苦労することもないと思います。尚、この申請書は国交省のHPでダウンロードすることも可能ですので、予め用意しておくことも可能です。
  • 故人の死亡が記された戸籍謄本(除籍謄本)
    相続に伴う名義変更では、故人の死亡を確認できる戸籍謄本(除籍謄本)が必要です。
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続する個人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 遺産分割協議書
  • 車検証
  • 自動車税申告書
  • 車庫証明書
    故人と同居していた方が自動車を引き継ぐ場合など、車庫証明書の添付が必要ないケースもあります。
  • 手数料納付書
    運輸支局の窓口で配布しています。自動車の名義変更は500円です。
  • 委任状
    代理人が名義変更を行う場合は必要。

個人が単独で相続する場合、名義変更には上記の書類が必要になります。たくさんの書類が必要になりますが、手続き自体はそこまで複雑ではありませんので問題なく進める事が可能だと思います。

遺産分割協議書の作り方

複数人で共同相続する場合

故人の自動車は、複数人の相続人で共同相続することも可能です。もちろん、共同相続する場合でも、自動車の名義変更は必要になります。以下で必要な書類を見ていきましょう。

共同相続での名義変更に必要になる書類

基本的には、必要になる書類関係は単独相続時と同じと思ってください。ただし、印鑑証明書は相続する方全員の物を用意する必要があります。また、相続人に15歳以下の人が含まれる場合は、その方の住民票が必要になります。
尚、共同相続の場合、相続人が複数人に及ぶため、委任状は相続人全員分が必要となるので注意しましょう。

故人の自動車を相続した場合、上記の方法で名義変更を行いましょう。因みに、上記の様なたくさんの書類は、故人の自動車が普通車の場合に必要になる物で、軽自動車の場合はそこまで複雑な手続きにはなりません。なぜかと言うと、軽自動車は価格が比較的安い為、相続争いの原因にならないと認識されているので、資産との扱いを受けず相続の手続きなしに名義変更が可能となるからです。

相続した自動車の豆知識

故人の自動車を相続した場合、その後そのまま使用し続けるにしても、処分するにしても、上記で紹介したような書類を用意し、名義変更を行わなければいけません。また、相続した自動車に関しては、その他にも注意しなければならないポイントがあるので、以下でそれをご紹介しておきましょう。

本拠地が変わるならナンバー変更代が必要

故人の自動車を相続する人が決まり、相続したことによって本拠地が変更される場合には、ナンバープレートの変更も必要になります。ナンバープレートの変更費用は、大判2枚で2,000円前後、小判2枚で1,800円程度の費用が必要になると考えておきましょう。
尚、希望ナンバーを選びたいなどといった場合には、別途費用が必要になります。

相続で自動車を取得する場合に取得税はかかる?

自動車を取得する際には、新車または中古車に関わらず、自動車取得税なる税金がかかります。算出方法は複雑ですので詳しくは省きますが、自家用車の場合は取得価額の3%、営業用車両や軽自動車の場合は取得価額の2%と大まかに覚えておきましょう。
それでは、故人の自動車を相続によって取得した場合、この取得税は課せられるのでしょうか?答えは『取得税はかからない!』です。
相続人は自動車取得税に関しては気にしなくてもいいですよ!

相続した自動車のその後についての注意点

相続した自動車は、自分で使用する、処分するなど、相続後の扱いは様々な事が考えられます。したがって、以下の注意点を頭に入れておきましょう。

  • 自分で使用する場合の注意点
    名義変更をきちんと行ったうえで、相続した自動車を使用する場合には、特に何の問題もないでしょう。しかし、「相続はしたけれど名義変更はしていない…」等といった場合、後々トラブルになりかねません。特に、何年か乗り続けて、そろそろ乗り換えようかなと考えた時や、ガタがきて抹消登録が必要になった場合、手続きが困難になる可能性が非常に高いです。きちんと名義変更は行いましょう。
  • 相続後に廃車を考えている場合の注意点
    故人の自動車を、相続後に使用せず、廃車を考えている場合も多くありますね。この場合、名義変更後、自分で廃車手続きを進める事も出来ますが、手続きが複雑になる上に、手間もお金もかかります。したがって、このような場合は、廃車買取業者に相続に伴う必要な手続きから任せてしまうと言う方法がオススメです。自動車を相続した場合には、自動車税や車検費用も必要になる為、乗る予定がないのであれば、早めに手放す方が絶対にお得ですよ。

まとめ

今回は、故人の自動車を相続する時に必要になる、様々な手続きや注意点をまとめてご紹介してきました。遺産相続等と聞いても、自動車が相続に関わってくる等と、なかなかイメージできない人も多く、本稿の情報を見て驚いたと言う人も少なくないかもしれませんね。
しかし、相続した自動車に関しては、きちんと名義変更などの手続きを進めておかなければ、後々の廃車手続きの際などにスムーズに手続きを進める事が出来なくなり、困ってしまうと言う事が珍しくないのです。
今回ご紹介した内容は、何時必要になる知識か分からないので、是非覚えておきましょう!