車には事故がつきもの。事故から運転手と被害者を経済的に守るための保険は数多くありますが、今回はドライバー保険と自動車保険について解説します。

ドライバーになるなら保険への加入は必須

免許を取得し、車を購入、あるいは譲って貰ったら、次は保険への加入が必要です。いくら機械が賢く安全だったとしても、人間がどれだけ気をつけても事故を完全に無くすことはできません。

不注意による接触事故、第三者の手による悪意のある事故、車の故障による事故。いくら車が高性能化しても、これらを完全に防ぐことはできないでしょう。

だからこそ、事故が起きないための対策は必要ですが、「事故が起きた時の対策」も必要です。その事故が起きた時の対策こそ、保険なのです。

自動車に関する保険は様々な種類があります。

ただ、一言で保険と言っても、車の場合は対象となるものが4種類あります。

1つ目は車。歩行者や建物との衝突事故で、車が完全に無傷なんて事はそうそうありません。

2つ目は被害者。人身事故ともなれば最悪被害者の命を奪うこともあります。

3つ目はドライバー。運転手だって事故の被害者でもあります。衝突によって怪我を負うことだってあります。

そして4つ目が物。建造物などが事故によって壊れてしまえば、当然ながらそれに対して修繕費を用意する必要があります。

保険はこの内全てが対象のものもあれば、この中の一部、例えば事故を起こした際に被害者のみ補償の対象になるといったものもあります。また補償内容も様々で、同じ対象に対しての補償でも、保険Aは最大100万円まで、保険Bは150万円までといったような違いがあります。

そのため、加入している保険の補償内容と条件は、しっかりと把握しておきましょう。

自動車保険とドライバー保険について

保険は様々な種類がありますが、今回は自動車保険とドライバー保険について解説します。

一見すると自動車保険は名前からして自動車の保険、対してドライバー保険はドライバーの保険の様にも考えられますが、実際には少々異なります。

まず、自動車保険は2つに分かれます。

「強制保険」と「任意保険」で、これは名前の通り車を運転するのであれば絶対に入らなければならない保険と、任意で加入するかどうかを選べる保険になります。

強制保険は自賠責保険と言い、「自動車損害賠償保障法」という法律によって加入が義務付けられています。つまり加入していないということは法律違反という事になりますので、注意しましょう。

この自賠責保険では対象が「相手」に限定されています。

事故が発生した際に、自動車でぶつかったあるいは接触回避で負傷した被害者に支払う賠償金に対してのみ補償が発生します。例え自分の自動車が思いっきりへこんだとしても、自賠責保険から補償は下りません

ただし、事故の際の補償金は決してこの保険のみで足りるほどでは無いため、「自賠責保険があるから他の保険に入らなくても良い」という事にはなりません。

万が一被害者が亡くなった場合、平均しておよそ2億円の賠償金を支払う必要があります。しかし、自賠責保険では3000万円までしか補償されません。つまりこの足りない1億7000万円分を補うのが、任意保険であるという事になります。

任意保険について

任意保険はさらに3種類に分かれます。

「賠償責任保険」「傷害保険」「車両保険」の3種類です。

それぞれ、賠償責任保険は相手の損害に対しての保険、傷害保険は自分及び同乗者に対しての保険、車両保険は自分自身の車両の損傷に対しての保険です。

ここから更に分かれて、賠償責任保険は「対人賠償保険」と「対物賠償保険」、損害保険は「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」「人身傷害補償保険」と、車両保険はそのまま車両保険といった様に、7種類の任意保険が存在しています。

基本的に自動車保険とは、この任意保険7種類の内いくつかがセットになった商品の事を指します。どれに加入するかは、保険会社の商品概要を確認して判断しましょう。

ドライバー保険について

続いてドライバー保険について解説しましょう。

ドライバー保険は少々特殊な保険で、その条件が「他人の所有する車に乗っている場合」というもの。言い方を変えると、「自分・家族の車に乗っている時は対象外」の保険がドライバー保険です。

ドライバー保険は任意保険の1つで、その内容は「対人賠償保険」「対物賠償保険」「搭乗者傷害保険」です。

つまり事故を起こした際に、被害者の損害と自身に対してのみ補償されることを意味します。

基本的にこの3つはどの保険会社でも共通していますが、一部の保険会社はここに車両保険をつける事が可能です。逆にそういった一部の保険会社以外では車両保険を選ぶことができないため、ドライバー保険に加入する前にきちんと調べておくと良いでしょう。

ドライバー保険はその条件からもわかるとおり、「他人の車を運転する時」に必要な保険です。それだけでも特徴的ですが、ドライバー保険の特徴は他にもあります。

ドライバー保険の特徴

補償額などは会社によって違ったりするため、ドライバー保険に共通する特徴のみ解説します。

まず、ドライバー保険の面白い所は「自動車」以外も対象になること。二輪自動車であるバイクはもちろん、自転車もドライバー保険の対象になるのです。キャンピングカーやトラックなどの大型車両、二輪自動車から自動車まで、広く対応しているというのはドライバー保険特有の特徴であると言えるでしょう。

もう1つの特徴ですが、ドライバー保険は「1日だけ加入する事」が可能です。

基本的には他人の車に乗った時にのみ対象となるため、車を持っている人と同棲しているというような状態でも無ければ、そんな頻繁に他人の車を乗ることは無いでしょう。

つまり、何らかの用事で他人の車に乗ることになった、というときに加入して乗り終わったら解約するといった事が可能です。自動車保険と違うのは、保険内容の選択肢が少ない代わりに、保険対象の範囲が広いという事でしょう。

ドライバー保険のデメリット

そんなドライバー保険にも当然デメリットは存在しています。

まず他人の車でのみ補償が受けられるという事。自分の車じゃないとしても、それが家族のものであれば補償を受けることができません。親戚であれば構いませんが、伴侶はもちろん親や子の車では対象になりません。

2つ目に等級は他の自動車保険とは別のものであるということ。

保険には等級制度というものがあり、これは補償を受けたことがあるかどうかで上下します。補償を受けると等級が下がり、保険料が高くなります。

逆に補償を受けないと等級が上がって、保険料が安くなります。

ドライバー保険の等級はあくまでもドライバー保険だけの等級であり、他の自動車保険とは別の等級になります。共有化もできなければ、統合もできません。

まとめ

以上、自動車保険とドライバー保険の違いについて解説しました。

ドライバー保険は任意保険の1つであり、他の自動車保険とは異なり「他人の車でのみ補償が発生する」という特殊な保険です。自分の車を持っている人でも、仕事などで他人の車を借りた時に利用できるため、覚えておいて損は無いでしょう。