幼い頃に見た峠を複数台の車で走破するアニメや、市販車をチューニングして性能を高めレースに参戦する漫画などを読んだ影響から、もしくは家族が車を運転する様子に憧れてなど、車を好きになるきっかけは様々です。近年では、プレイしているゲームをきっかけに車を好きになったという方も少なくありません。
車を好きになったきっかけはGTA5
2013年に販売を開始し、2023年現在は世界で二番目に売り上げたゲームソフトと言われている、グランド・セフト・オートV（略称GTA5）は、ライブストリーミングサービスプラットフォームで知られるTwitchにおいて2023年7月に最も視聴されたゲームとなっており、発売から10年が経った今も話題性の高いゲームとして認知されています。GTA5は、アメリカ合衆国の架空の州（都市）を舞台に、様々なジョブやミッションを行うゲームとなっており、そのゲーム内で登場する乗り物や建物の完成度が高いことでも知られています。登場する乗り物のモデルは世界中の自動車メーカーの車やコンセプトカーと見られ、ゲーム内マネーを貯めると購入が可能です。手に入れた乗り物はカスタムやチューニングも可能で、ゲーム内ではレースに出場することも。それまで車に興味を持たなかった配信者がGTA5をプレイして、乗り物のカスタムや運転をきっかけに、現実でも免許取得を考え車の購入に至った、ということが話題となっています。
こちらの記事では、GTA5のゲーム内でも人気がある乗り物のモデルと思われる車種のご紹介や、そのモデルとなった車種を手に入れる方法はあるのか、詳しく解説しています。
あの人気車のモデルは何？
GTA5に登場する乗り物は、世界の自動車メーカーが今も販売している車や過去に製造販売していた車、ショーなどで発表していたコンセプトカーなどがモデルになっているのではないかと言われています。その中には日本車がモデルと思われる車も多数あり、海外のゲーム会社の制作でありながら細やかな作り込みがされていて、GTA5をきっかけに国産車に興味を持ったユーザーも少なくありません。こちらではゲーム内に登場する乗り物のなかでも、国産車がモデルと思われる車をいくつかご紹介します。
アニス/エレジーレトロカスタム（ElegyRetroCustom）/日産スカイラインGT-R
ゲーム内でのブランド名がアニス、乗り物の名称がエレジーレトロカスタムとなっています。アニスのブランドはモデルがすべて日本の自動車メーカーである日産もしくはマツダではないかと思われます。その中の一台でエレジーレトロカスタムは、日産スカイラインGT-RのBNR32型がモデルではないかとされています。BNR32型のスカイラインGT-Rといえば、1989年から1994年にかけて生産販売されていた3代目モデルで、最高出力280PS・6,800rpmのハイパワーRB26エンジンを搭載しており、RBエンジンは日本の歴史に残るエンジンと評されています。BNR32型が輸出されたオーストラリアで開催されたツーリングカー選手権において、圧倒的勝利を見せたことから海外では3代目スカイラインGT-Rのことは「Godzilla」と呼ばれていて、大変人気が高い車種となっています。
スカイラインGT-R（BNR32型）は、2ドア4シーターのクーペタイプのみとなっていましたが、GTA5のエレジーレトロカスタムは2ドア2シーターです。また、フロント周りやヘッドライトにはR33型、リアのテールライトなどのランプ配置はR34型要素も見られるため、完全に同じ個体というわけではありません。しかし、ファンであれば乗ってみたくなる乗り物でしょう。
アニス/ユーロス（Euros）/日産フェアレディZ
ユーロスのモデルは日産自動車のフェアレディZ、Z34型がモデルではないかと言われています。ヘッドランプの形はZ33型となってはいるものの、サイドからリアに掛けて後ろが高くなり、流線形のボディになっています。3ドア2シーターの後輪駆動モデルで、世界トップレベルの走行性能をもつ車として、日本国内だけでなく各国地域で人気のある車種となります。
アニス/レミュス（Remus）/日産シルビア
レミュスのモデルは、日産自動車から1988年に新時代のセダンとして発売されたシルビアS13型がモデルではないかと言われています。シルビアS13型はスタイルの良さや未来的なデザインが公表で、発売年にグッドデザイン賞を受賞しています。また、発売された当時からスポーツ性能の高さ、後輪駆動車かつターボ車、また手ごろな価格帯だったこともあり走り屋（ストリートレーサーとも言われた）の若者からも絶大な支持を得ました。ただ、そのストリートレース等に使用されたことにより状態のよい車体はかなり減少傾向にあり、事故歴車や違法改造により車検が通らない車体なども多くなっています。
カリン/フト（Futo）/トヨタカローラレビン
フトのモデルとなったとされるカローラレビンAE86は、トヨタのハチロクで知られる人気車種です。後輪駆動2シーターのスポーツカーで、スライドに合わせてドリフトしやすい乗り物となっています。フトの名称も、ドリフトを短縮した名称と思われます。AE86というと富士フレッシュマンレースでドリフトキングのモータースポーツキャリアを支えた一台として、自動車業界でも知られています。
カリン/ディレタンテ（Dilettante）/トヨタプリウス
ディレタンテのモデルとされているのは、トヨタが世界で初めて市販化したハイブリッド車で知られるプリウスの2代目モデルです。プリウス2代目は、2003年9月1日から2009年5月まで販売されていました。2代目プリウスの特徴は「THS（トヨタハイブリッドシステム）2」を搭載していて、先代プリウス以上の出力値によってさらに走行性能を高めています。実はGTA5内でのハイブリッド車は、ディレタンテとイモーゴンのみとなっており、プレイユーザーからは気づかれにくいものの、ガソリン車と比べ燃費性能が高くなっています。
ディンカ/スゴイ（Sugoi）/ホンダシビック
スゴイのモデルと思われる車種が、ホンダのシビックのFK型（ハッチバックタイプ）です。エクステリアデザインはフロントのヘッドライト、フロントグリルなどはデザインは、FK7,FK8のタイプRとかなり近くなっています。FF（前輪駆動）車のため、悪路や登り坂に対する走行性能は弱いものの、ハンドリングが軽く都市部での走行には適している乗り物となっています。
カリン/クルマ（Kuruma）/三菱ランサーエボリューション
クルマのモデルとなっていると思われるのが、三菱の人気の高いスポーツカーで最後のランエボと言われている、ランサーエボリューションX（10）です。2007年10月に発売されたランサーエボリューションXは、ハイパフォーマンス4WDセダンとなっていました。4WDセダンは走行安定性が高く、インタークーラーターボ付きの直列4気筒2.0Lエンジン搭載のため、誰もが気持ちよく安心して高い次元の走りを楽しむことができる車となっています。GTA5のクルマも、4WDのため走行が安定しやすくレース仕様としても人気の一台になります。
モデルとなった車を手に入れることはできるのか
GTA5のハイパーカーカテゴリの乗り物は、高級車で知られるランボルギーニや、世界で一番高いスーパーカーで知られているブガッティなどの限定モデルやコンセプトカーをモデルとされている車体が多く、現実に手に届く価格とは言えません。では、前項でご紹介した国産スポーツカーやセダンなどの車を手に入れることはできるのでしょうか。
北米市場でも人気のネオクラシックカーがモデル
前項でご紹介した乗り物のモデルとされている車種は、ほとんどが1980年代～2000年代に販売されていたネオクラシックカーといわれる車種となります。GTA5は、アメリカ合衆国の架空の都市を舞台にしていることもあり、アメリカ合衆国で人気のJDM（Japanese domestic market）がモデルとして多く採用されていることがわかります。JDMとは、アメリカで日本仕様にカスタマイズされた車や、25年の輸出ルールにより右ハンドル仕様のまま北米への輸出が可能になった車のことを指します。
北米で自動車を使用するには、現地の安全基準条件を満たさなければいけません。しかし、日本の国産車のほとんどに設定されている右ハンドル車が、北米の安全基準では不適合とされているため、国産車を輸入するには、右ハンドルから左ハンドルへと構造変更をしなくては輸入できないというルールが設けられているのです。ただし、その厳しい基準を満たさなくても輸入ができる条件というものが別途定められており、それが「製造から25年が経過した車はクラシックカーとしての輸入になるため、安全基準に満たない状態の右ハンドル車であっても、そのまま輸入できる」というものです。今回GTA5でモデルとされる車が、アメリカ国内でJDMとして人気のある25年前より以前に製造された車種が多いのは、この北米の25年輸出規制ルールが大きく関わっています。
お気に入りの乗り物を手に入れることはできるのか？
では、北米でも人気のあるネオクラシックカー（JDM）を、国内で手に入れることはできるのでしょうか。北米市場で高い人気を誇るネオクラシックカーの海外流出台数は年々増加傾向にあり、日本国内でも人気があるものの中古車市場から台数自体は減少傾向にあります。しかし流通が0になったわけではないため、手に入らない車種というわけではありません。
今回ご紹介したモデル車種は、すでに販売自体は終了してから10年以上が経過している車がほとんどとなっていますが、中古車市場であれば手に入れることは可能です。ただ、中古車市場で探してみる際には、事故修復歴があるかどうか、メーター改ざん等はあるか、構造変更等で車検を受ける際に注意が必要な車ではないかなどの注意点があります。特にスポーツカーとして人気の車種は、過去の使用状況としてどうしても事故修復歴がある車が多くはなっています。事故修復歴ということは、走行ができる状態へと修復自体はされているものの、所有中や運転中に突発的なトラブルが発生することも少なくありません。また、人気車種のため年式が古い車であっても、中古車販売価格が高額な車体が多く、ほとんどが新車販売価格よりも高くなっています。例えば、アニスエレジーレトロカスタムのモデルとされる日産スカイラインGT-R（R32型）の現在の中古車販売価格は、150万円～750万円となっており、最も高額な車体となっているものについては、低走行・事故修復歴なしとなっていました。長く乗り続けるのであれば、状態が良いものを選びたいと考える方が多いと思いますが、価格との相談は必要です。
まとめ
こちらの記事では、GTA5で登場する乗り物のモデルではないかとされている車種について詳しく解説しました。モデルと思われる国産車の多くは、ネオクラシックカーにカテゴリされるものがほとんどで、実は新車より高額な車体も多いものの、今ならまだ手に入れることが可能な車も少なくありません。気になる一台があれば、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
また、GTA5では国産車だけでなく海外で人気の輸入車も多く登場しています。例えば、フィスターのコメット（Comet）は、ポルシェの911がモデルと言われています。911はポルシェのフラグシップモデルとして知られていて、2シーターの高性能スポーツクーペで、リアエンジンリアドライブの車体です。GTA5ではトラクションのカスタム次第でオフロード走行、登り坂や傾斜も問題なく走行ができる車でもあるため、ゲーム内でも高額アイテム（乗り物）ではあるものの人気も高い一台です。
