今回は、最近の自動車では当たり前になってきている『スマートキー』を狙った自動車盗難手口を詳しくご紹介したいと思います。最近、ニュースなどでも取り上げられる機会が増えてきたので『リレーアタック』と言う名称は、聞いたことがあると言う人も多いかもしれませんね。しかし、実際にどのような手口で、またどうすれば『リレーアタック』を防げるのか等はイマイチ分からないと言う人も多い事でしょう。
そもそも『スマートキー』がどのような物かと言うと、鞄やポケットにキーを入れた状態で、「ドアノブに手を近づける」「ドアノブを引く」などの動作だけでドアの解錠・施錠が出来る非常に便利なキーです。よく勘違いされるのですが、テレビのリモコンの様に離れた位置からキーについているボタンを押して開閉する『キーレス』とは異なります。近年では、スマートキーを持った人が自動車に近づくだけで解錠、離れるだけで施錠するようなもの出てきており、非常に便利なので急速に普及しています。
このように、とても便利な『スマートキー』が採用された自動車は、キーを盗まなければ自動車の盗難など出来そうにないと思いますよね。しかし、近年は、犯罪の手口も非常に巧妙化しており、驚くべき方法で自動車が盗難されてしまうのが『リレーアタック』なのです。
本稿では、その手口と対策法をご紹介しますので、是非覚えておきましょう!
リレーアタックって何?
それでは、最初に『リレーアタック』の手口を詳しくご紹介していきます。上の動画は、実際に『リレーアタック』の手順を紹介している動画なので、是非一度ご覧ください。動画からも分かるように、リレーアタックの手口を簡単に説明すると、スマートキーから出ている微弱な電波を特殊な装置で受信し、その電波で自動車を開錠させると言う物です。このリレーアタックと言う方法は、基本的に2人以上のグループで、以下の様な手順で行います。
リレーアタックの手順
- STEP1 犯行グループの一人がスマートキーを持った運転手に近づく
- STEP2 スマートキーから出る微弱な電波を特殊な装置で受信する
- STEP3 受信した電波を増幅させて、窃盗役の仲間に送信する
- STEP4 受信した電波をリレーさせながら車に近づく
- STEP5 電波はスマートキーの物なので、自動車が開錠する
- STEP6 窃盗役が車に乗り込み、エンジンをかけて自動車を盗難する
- STEP7 別のスマートキーで動くようにカスタムされたり、バラされて海外へ売却される。
リレーアタックは、上記の様な手順で自動車を盗難するのです。
『スマートキー』という物は、一定内の距離にキーが近づくと、電子IDと照合し、ドアの開錠・施錠、エンジンの始動等が出来る仕組みとなっている為、常に微弱な電波を出し続けているものなのです。また、純正イモビライザーと連動していて、スマートキー連動の防犯ブザー等もあり、本来はセキュリティ面も高いのが特徴です。しかし、リレーアタックはスマートキーから出る電波を利用している為、スマートキーと連動のセキュリティシステム等も無効化されてしまう訳です。このような方法での自動車盗難は、近年非常に増えており、海外でもリレーアタックの被害が多く報告されているそうです。スマートキーは非常に便利ですので、自動車の購入を考えた場合、スマートキーが採用されているという事は非常に多い事でしょう。その為、リレーアタックの被害を受けない為に対策法を知っておく必要がありますね!
リレーアタックを防ぐには?
リレーアタックによる自動車盗難の手口は分かっていただけましたね。人間の生活が便利になるよう、様々な分野の技術進歩はどんどん進んでいきます。しかし、それに対応するように、犯罪の手口も巧妙化しており、リレーアタックなどは正確な件数すら把握できていないと言われています。ここでは、スマートキーを狙った自動車盗難を防ぐにはどのような対策をとればいいのか考えてみましょう。
電波を遮断する
一番簡単で、誰でも出来る方法と言えば「スマートキーから出続けている電波を物理的に遮断する」と言う方法でしょう。リレーアタックは上述の通り、スマートキーから出る微弱な電波を受信し、それを利用する訳ですから、受信できない状態にすればいいのです。具体的にどうするのかと言うと、車外でスマートキーを所持する場合には、電波を遮断できる金属製の専用容器などに入れるだけで、リレーアタックを防ぐことは出来ます。ただしこの方法は、鍵の開錠の為に鞄やポケットから一度出し、容器から出し入れしなければならなくなり、「近づくだけで開錠・施錠が出来る!」といったスマートキーの便利機能の意味がなくなってしまうと言うデメリットもあります。自宅の玄関先などにスマートキーを置いているといった方は、必ず鉄製の缶などに入れて保管するようにしましょう。玄関の外で受信され、朝起きるとガレージから自動車が無くなっていたなんてことも少なくないのです。自動車盗難は、自宅だから安全だとは言えないのです!
盗難防止用品を追加しておく
リレーアタックで開錠されたとしても、ハンドルロックがガッチリ掛かっている場合や、その他の盗難防止装置がついている等となると、盗難するにも時間がかかり諦めてくれると言う場合も多いでしょう。
外出先では怪しい動きをしている人がいないか確認する
これはリスク管理になるのですが、外出先で自動車を降りた時は周囲に怪しい動きをする人がいないかきちんと確認しましょう。例えば、自動車を降りた時に知らない人が近づいてきた…や、不自然に自分の後ろをついてくる…などといった人がいれば要注意です。少しでも心配な事があれば、一度自動車の様子を見に戻る等をすると良いでしょう。
自動車保険は盗難保証がある物を!
どれだけ注意したとしても盗難被害を100%絶対に防げるとは言えない物ですね。その為、自動車保険に加入する時は盗難時の保証がある物にしておくことをお勧めします。保険という物は、差し迫った必要性をなかなか感じにくいものですが、万が一の時には本当に頼りになる物です。
自動車盗難被害を受けて、ローンだけ残ってしまった…等と悲惨な未来が来ないよう、日頃から準備しておくと良いですね!
まとめ
今回は、便利な機能で人気の『スマートキー』を狙った自動車盗難『リレーアタック』について、その手口や対策についてご紹介してきました。
本稿でもご紹介している通り、リレーアタックはスマートキーから常に出ている微弱な電波を拾って、自動車を盗難すると言う手口です。したがって、リレーアタックでの盗難を防ぐには、「スマートキーから出る電波を遮断する」という事が最も手っ取り早い方法です。しかし、電波を遮断してしまうと、スマートキーの便利機能まで意味がなくなってしまう為、なかなか難しい問題でもありますね。
もちろん自動車を盗難されるよりは絶対に良いと思いますので、今回ご紹介した対策法などを考えて見てはいかがでしょう!
最後に、リレーアタックは、外出先等でだけ被害に遭うのではなく、自宅のガレージに自動車を置いている際にも被害が報告されています。これは玄関先にスマートキーを置いているような人で、夜中に玄関の外から電波を受信され被害に遭うと言う方法だそうです。玄関先にスマートキーを置いておくのであれば、電波を遮断できるように鉄製の缶などに入れて保管するようにしましょう!