今回は、ドライバーを悩ませる任意保険の等級についてと、自動車を廃車した場合に今まで積み上げてきた任意保険の等級を維持するための方法をご紹介したいと思います。
日本の自動車保険制度は世界一複雑も言われ、その中でも特に分からないと言われるのが『等級制度』です。単純に考えれば「事故を起こさないドライバーほど保険料が安くなる」という仕組みなのですが、近年では事故あり等級制度の導入など制度変更もあり、ますます理解できなくなったという声が良く聞かれます。
自動車保険の等級は、初めて自動車保険に加入する場合、6等級からスタートし最高で20等級まで上がります。そして、保険の等級が上がるごとに保険料には割引が適応され、6等級と20等級では驚くほどの差が毎年の掛け金に出てきます。このような制度を考えると、せっかく積み上げてきた保険の等級が、自動車を廃車にすると消えてしまったとしたらとても勿体ないですよね!
もちろん、自動車を廃車した時に何も考えずに解約してしまうと、次に自動車を買った時には6等級から始めなければいけません。しかし、廃車前にとある手続きを行う事によって任意保険の等級は維持できるのです。そこで今回は、廃車後の任意保険の等級維持はどうすればいいのかご紹介したいと思います。
自動車保険の等級とは
では最初に任意保険の等級について少し触れておきましょう。現在自動車を所有している方で、自動車保険に加入している方は、自動車保険の証券を確認してみてください。ここには『等級』と書かれた部分があり、この等級に書かれているものは簡単に言うと『ドライバーの安全運転のレベル』で、このレベルは保険料の割引率を示しているのです。
始めて自動車保険に加入するドライバーは、6等級または7等級から始まり、1年間無事故(あるいは事故を起こしても保険を使わない)であれば1等級ランクアップし、保険期間の1年間で1回事故を起こすと1~3等級下がるといったように等級が変動するのです。等級は最大で20等級まであり、この等級が上がれば上がるほど保険の割引率も上がり保険料も安くなります。このように自動車保険には等級制度が設けられており、6等級からスタートした人が最高の20等級に到達するには、最低でも無事故運転を14年間続けなければならないという事ですね。では、自動車の廃車を考えた時に保険の等級までリセットされるとなるとどう思いますか?長年積み重ねたものが一瞬でなくなるのは溜まった物ではありません!
廃車すると保険の等級はリセットされる
自動車を廃車する時に何も考えずに保険の解約もしてしまうと、せっかく積み上げてきた保険の等級もリセットされてしまいます。自動車の買い替えを前提としているのであれば、その保険を解約するのではなく『車両入替』という方法で保険を引き継ぐようにしましょう。『車両入替』であれば、廃車にする自動車で積み上げてきた等級を新しい自動車にそのままスライドさせることが出来ます。
自動車の廃車時には、廃車前に保険の解約をしてしまう人も多いものです。この場合、解体工場に持ち込むときなどに事故に遭ってしまったら、もちろん任意保険が使えないので解体完了まで保険に加入しておくことをオススメします。
自動車保険は『中断』で等級維持が出来ます
自動車の乗り換えが前提なら『車両入替』で問題ありませんが、しばらくは自動車に乗る予定がないといった場合にはどうすればいいのでしょう?ここでは、乗り換えが前提ではない人で、自動車を廃車する時に今まで積み上げてきた保険の等級を維持するための方法をご紹介します。
こういった場合には、自動車保険の『中断』という制度を利用すれば問題ありません。この『中断』と言われる方法は、読んで字のごとく『保険契約を中断しておく』事を指しています。保険の解約であれば、その保険の契約は終わりを意味するので等級がリセットされるのですが、『中断』は解約するわけではないので等級のリセットが行われないのです。もちろん中断している間は保険料の支払いは発生しません。
自動車保険の中断は、保険会社によって中断できる期間は違いますが、大体10年間程度が一般的です。したがって、20等級までランクアップした保険があれば、この中断期間内であれば20等級から保険を再スタートできるのです。もちろん中断期間を過ぎてしまえば6等級からのスタートになります。
例えば、仕事の関係でしばらくは自動車に乗らないといった場合に7等級以上の自動車保険があれば解約するのではなく『中断』にしておくのがお得だと思いますよ!
自動車保険の中断は誰もが出来るわけではありません
自動車保険の中断は非常にお得な方法という事が分かりましたね、しかし、いついかなる時も保険の中断が出来るわけではありません。例えば「中断する時には7等級以上でなければならない」「廃車手続きが完了していなければならない」等、条件が付けられています。また、この条件に関しては、契約している保険会社により異なりますので、保険契約の中断が出来るか、一度保険会社に問い合わせてみましょう。
自動車保険の中断手続きに関しては、契約している保険会社で行う物なので、保険会社の指示の通り進めれば特に難しいものではありません。中断の手続きが完了すると『中断証明書』が発行されるので大切に保管しましょう。中断証明書は再契約の際に必要になります。
まとめ
今回は、自動車を廃車した時に保険の等級を維持するためにはどうすればいいのか?という事についてご紹介してきました。
自動車保険の等級に関しては、非常に複雑な制度という事もあり、等級の意味すらよく知らないと言う方も非常に多いのではないでしょうか?また、等級によってどれほどのメリットがあるのかもあまり考えずに、自動車の廃車時には何も考えず保険を解約してしまうといった人も多い事でしょう。しかし、本稿でもご紹介した通り、自動車保険の保険料はスタート時点の6等級と20等級では驚くほどの違いがあるのです。保険会社によって割引率は異なりますが、最高の20等級になると割引率が6割を超える様な物もあり、スタート時点と比較すると保険料は圧倒的に安くなります。その為、自動車の廃車時に保険の等級をリセットにすることは非常にもったいない事といえ、将来的には自動車に乗るか分からない程度であれば中断で等級の維持を行った方が良いと言えるでしょう。自動車保険の等級は、スムーズに行っても最高ランクにあげるのに14年もかかる物です。せっかく頑張った安全運転の証なので、お得な制度は出来るだけ利用しましょう。