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飲酒運転はいつから厳罰化したのか?罰則がない時代も

自動車のマメ知識
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道路交通法が整備されたのは1960年です。

飲酒運転に関して、道交法施行により決められた法制は「呼気1リットルに対し0.25mg以上のアルコール量を検知した状態は運転をしてはいけない」というものです。呼気1リットルに対し0.25mg以上のアルコール量は、心肺機能に影響が出るほか、運動能力や認知能力にも影響が出るということが1960年に行われた実験により結果が出ています。

現在は、呼気1リットルに対し0.15mg以上のアルコール量が飲酒運転の基準となっています。

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実は飲酒運転を罰していない時代があった

道路交通法施行以前は、飲酒運転に対して罰則はありませんでした。

日本で初めて自動車が公道を走ったのは1898年(明治31年)で、この頃の自動車は現在の路線バスのようなものだったといわれています。それから道交法が施行される1960年まで、飲酒運転に対する法律にはなかったのです。

罰則が登場したのは1970年

呼気1リットルに対し0.25mgまでならセーフだったので、アルコールを摂取して車を運転してもいいという認識が広まってしまいました。政府はこの状態を好ましくないと判断し、1970年にさらに罰則を規定しました。

状態違反点数罰則・罰金
酒気帯び運転(0.25mg以上)6点3か月の懲役
または5万円以下の罰金
酒酔い運転15点2年以下の懲役
または10万円以下の罰金

それまでに前歴が無くても、15点以上の違反点数により免許取り消しとなります。

2002年には厳罰化

1990年代になると悪質な飲酒運転が増加し、厳罰化をめぐる議論が国会で交わされました。
この年から、呼気1リットルに対し、0.15mg以上を罰則とする変更があります。

状態違反点数罰則・罰金
酒気帯び運転
(0.15mgから0.25mgまで)
6点1か月以下の懲役
または30万円以下の罰金
酒気帯び運転
(0.25mg以上)
13点1か月以下の懲役
または30万円以下の罰金
酒酔い運転25点3年以下の懲役
または50万円以下の罰金

2007年にも更なる厳罰化

このころから飲酒運転をした車に乗っていた人も罰するようになりました。

状態違反点数罰則・罰金
酒気帯び運転
(0.15mgから0.25mgまで)
6点3年以下の懲役
または50万円以下の罰金
酒気帯び運転
(0.25mg以上)
13点3年以下の懲役
または50万円以下の罰金
酒酔い運転25点5年以下の懲役
100万円以下の罰金

2009年には厳罰化対象を拡大

酒を飲んでいると知りながら運転をさせた、車を運転すると知っているのに酒を提供などすると罰則の対象となります。

更に2009年には違反点数を大きく引き上げました。

状態違反点数罰則・罰金
酒気帯び運転
(0.15mgから0.25mgまで)
13点3年以下の懲役
または50万円以下の罰金
酒気帯び運転
(0.25mg以上)
25点3年以下の懲役
または50万円以下の罰金
酒酔い運転35点5年以下の懲役
100万円以下の罰金

この法律が現在も適用されています。

過去に大きく取り上げられた飲酒運転事件

東名高速飲酒運転事故

1999年に東名高速道路で起きた飲酒運転事故です。この事故により子供2人が死亡し、センセーショナルに取り扱われました。事件が起きた場所は東名高速道路東京IC付近、飲酒運転をしていたトラックが普通自動車に追突しました。トラックは12トンもの重量であり、加害者側には怪我がなく、巻き込まれた別の自動車も被害を受けています。

事故当時、燃え盛る炎の中から何とか運転手の夫と妻が脱出しましたが、同乗していた2人の子供(1歳と3歳)は焼死してしまいました。なお夫は皮膚面積の25%もの火傷を負うほどの重症でした。加害者のトラック運転手は飲酒運転の常用者であり、ウイスキーとチューハイを飲んでおり、酩酊状態でした。刑事訴訟では懲役4年が決定し、民事訴訟では総額2億5千万円の賠償金を支払うことが決定しました。

福岡海・中道大橋飲酒運転事故

2006年に起きた事件です。一人の男性が、福岡市東区にある海の中道大橋で飲酒運転を行い、他の車に衝突しました。衝突された車は博多湾に転落し、運転手の夫と妻は軽傷、子供3人が死亡しました。飲酒運転をしていた男は追突後に逃走を図りましたが、車が衝突で壊れていたため断念しました。また、飲酒運転していた事実を隠そうと水を飲んでいたことも明らかとなっています。当初は分限免職とされていましたが、多くの苦情が福岡市に寄せられ、メディアでも話題になりました。度重なる苦情により、分限免職から懲戒免職になります。

なお、裁判での弁護側の見解としては飲酒運転が原因でなく、わき見が原因であると主張していたようです。最終的には2012年に損害賠償3億5千万円を求めた民事裁判で、加害者は被害者家族に謝罪し和解しました。この事件をめぐって、加害者だけでなく、当時の福岡市長が10か月分の給与を20%減額することを発表、加害者が福岡市の職員であったことから学校のイベントなどでのアルコール提供を中止、2007年の厳罰化を推進する要因となりました。

2018年も飲酒運転の事件が発生

芸能人の飲酒運転も話題になりましたが、大きな飲酒運転の事故も発生しています。メディアでも取り上げられたのが青森県で起きた飲酒運転による交通事故です。これほど飲酒運転をいましめるキャンペーンがあれど、飲酒運転は未だに発生しています。

青森県つがい市の飲酒運転事故

2018年9月22日に起きた事故です。後方から速度制限を80kmも超えるスピードで普通自動車が軽自動車に激突し、対向車線を越えた普通自動車がさらに別の軽自動車と正面衝突を起こしました。後方から激突された軽自動車に乗っていた二人は死亡、正面衝突された軽自動車の2名も死亡しました。加害者は男性3人であり、バーベキューをして飲酒をし、事故を発生させました。なお、男性3人のうち2人は胸部骨折などの重症、1人は軽傷でした。

飲酒運転は人生を破壊する

飲酒運転は加害者や被害者の人生を破壊してしまいます。被害者は怪我だけではなく、最悪死亡してしまうリスクがあり、加害者は仕事を失い、大きい損害賠償を請求されます。しかし驚くことに飲酒運転の検挙数は2017年でおよそ2万7千件もあります。飲酒運転の事故件数などは厳罰化により、減少こそしていますがなくなるということは難しいのかもしれません。

まとめ

飲酒運転の厳罰化をテーマにしてまとめました。罰則がない時代があったというのが驚きだったのではないでしょうか?当時の考えや常識に、甘い部分があったことは確かだと言えるでしょう。現在は厳罰化もされており、飲酒運転自体は減ってきています。お酒を飲んだら絶対に車を運転しないこと、お酒を飲んで運転しようとしている人がいたら運転させない対応を心がけてください。

今回紹介した飲酒運転事故もそうですが、飲酒運転で人生は大きく変わってしまいます。免許停止や罰金だけでなく、職を失う可能性も大きく、誰かを負傷もしくは死亡させてしまうと、賠償金を請求されてしまいます。飲酒運転は絶対にしないでください。