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自動車解体業者になるには?解体業許可の受け方

自動車のマメ知識

世の中には様々な職業があり、職業によっては資格が必要な場合があります。例えばプログラマーになるために資格は必要ありませんが、弁護士として活動するためには司法試験に合格する必要があります。

では、自動車解体業を営むために資格は必要なのでしょうか?口に解体業と言っても、それに破砕や回収・引取など携わる業者は複数あります。今回は自動車解体業について、解体の流れも合わせてご説明いたします。

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自動車リサイクルの簡単な流れ

自動車リサイクル法が2002年に制定され、自動車の解体は厳格なルートを経るようになりました。簡略的にですが、流れをご説明いたします。

1.所有者が車を手放す

解体するためのものがなければ、そもそも始まりません。自動車解体のためには、自動車リサイクル券と一緒に、車を手放す必要があります。

2.引取

自動車引き取りの際には、まずフロン類など、そのまま処理してしまうと地球環境に悪影響が出るものを抜きます。抜いた後のフロン類は、フロン類回収専門の別の業者へ引き渡されます。

3.解体

エアバッグやフレーム、エンジンやドアなどを、規程にしたがい解体を進めます。再利用が可能な金属部品はリサイクルになり、エアバッグ類などは特殊な処理を経て無害化されます。

4.破砕

自動車のボディなど、再利用ができない金属類は、シュレッダーを用いて破砕します。この際に破砕業者へ事業が委託されることもありますが、引取業者と一体化しているところも珍しくありません。

5.シュレッダーダスト処理

破砕の工程後に残るプラスチックやゴムなどを、「シュレッダーダスト」といいます。これらの素材を再利用するためには特殊な工程を挟む必要があるため、シュレッダーダストは原材料化したり燃料として燃やされたりと様々です。自動車解体ルートの厳格化により、2020年現在、自動車の再利用率(リサイクル率)は95%以上となりました。しかしながらどうしても燃えカスや灰が出てきます。それらは埋め立てなどに再利用されています。

自動車解体業者になるには

自動車解体業者になるためには、新たに自治体から事業者許可を得ることが必要です。以下の基準を満たす必要があります。

施設基準

まず、使用済み自動車を解体する施設には、囲いがないといけません。また、解体の際に流出する廃油などの地面の浸透を防ぐため、地面はコンクリートである必要があります。他には廃油と水分を分離する装置なども必要です。また、雨水で廃油などが外部に流出してはいけないため、屋根も必要です。自治体にもよりますが、屋根の設置がどうしても難しい場合は、他の油水分分離装置があれば許可が下ります。

能力基準

自動車解体業に関して、標準作業書の内容を熟知している必要があります。また、事業計画書に継続性がなければ許可はおりません。標準作業書には、主に解体自動車の保管方法・指定回収物(エアバッグ・電池、タイヤなど)の解体方法・廃棄物の処理方法・部品保管方法・火災予防法などが載っています。

この基準を市の全ての担当の課からクリアしたと見なされれば、やっと自動車解体業を始めることができます。自動車リサイクル(解体)業界では、自動車整備士のような自動車リサイクルに関する国家資格を設けようとする動きもあるようですが、現時点では士業化には至っていません。

自動車リサイクル士制度とは

弁護士のように、その資格がなければ業務を行えないものではありませんが、優良な人材育成のため、自動車リサイクル士制度なるものが設けられています。認定を受けるためには、講習を受ける必要があります。

引き取りやフロン処理工程に限った講習など、自動車解体にともなう全行程を学ぶ講習がありますが、求められる知識は「自動車リサイクル法」と、その関連の法律です。他には自動車リサイクル(自動車解体)に伴う工程と実際の作業内容、安全基準を遵守できているのか、衛生管理もできているのかなども知識として求められます。2018年には、全国で自動車リサイクル士の講習が実施されております。

解体業許可を得る難易度

解体業の許可を得るためのハードルは、低いとは言えません。まず、施設への投資が必要だからです。

前述したように、床を全面コンクリートにしたり、屋根をつけたり、また、使用済みの自動車を保管する場所も必要です。解体場所と保管場所は区別されていることが望ましく、同じ敷地内にある場合も、カラーコーンなどで区別する必要があります。建築関連のニュースとして土地の傾きなどが問題になりますが、自動車解体に使う地面は平面である必要もあります。また囲いの高さは、1.8メートルから2メートルは必要でネットフェンスやブロック、金属板など人の侵入が防げるものでないといけません。
厳しいと思われるかも知れませんが、自動車解体の現場は放火の際に被害が拡大しやすい場所ですので、致し方ない規則でしょう。これらの基準を満たした施設を用意するのに必要な資金は、およそ600万円から1000万円と言われています。
事業計画書がしっかりしているなら、融資を受けるのもそれほど難しくないかも知れませんが、自動車解体業の新規事業者に積極的に融資する金融機関は多くはありません。また、認定許可を得た後も、5年ごとに再認可を得る必要があります。解体業を無許可で行った場合、廃棄物処理法違反で5年以下の懲役または1000万円の罰金が課される可能性があります。

新規事業者に吹く逆風

日本だとおよそ、自動車の乗り換えが10年から11年ほどですが、近年はアジア・アフリカの経済振興が目覚ましく、中古自動車の輸入を規制していない国では、日本ではもう乗られないような車が平気で走っています。中古自動車業界は好調ですが、解体業者は減りつつあるのが現状です。海外にパーツを輸出できるルートがあれば別ですが、先進国だとそもそも廃パーツが豊富にあり高く売れず、発展途上国は資金繰りの面で厳しい場合や詐欺などの被害も多いのが現状です。

10万円以上の差が付くこともあります

破砕業や引取にも許可が必要

中古車の取引をするためには、古物商の許可が必要です。そして、自動車引取業者の登録も、5年ごとに行わねばなりません。全ての業者が守っているわけではありませんが、廃車として引き取ったものを中古車として販売することは禁止です。

また、自動車解体の許可は厳密には作業ごとに分類されており、フロン類回収の登録と、解体業の登録、廃車引き取りの登録、破砕の登録は全て違っています。ただし、廃車引取りや破砕業を外部委託すれば、許可は必要ありません。

自動車解体事業の継続難易度

2002年の自動車リサイクル法施行から、それまでにあったような自動車解体業者は少なくなりました。青空解体などはできなくなり、保管場所など大きな施設投資をする必要が出てきました。

結果的に解体業のグループ化が進んでいます。鉄スクラップの値段も2008年をピークに下がり続け、戻る気配はありません。

現在の解体業は、主に海外への部品輸出で成り立っています。自国の車が売れなくなるため、中古車の輸入に高い関税をかけている国は少なくありませんが、金属部品は比較的自由に輸出されています。

タイヤや車のエンジン、パーツなどを欲しがっている海外の事業者に引き渡すのが、現在の主流です。かつてあった、解体して手に入れた鉄くずなどをリサイクル業者に一気に引き渡すと言ったことは減りました。

まとめ

自動車解体業者になるためには、低くないハードルを超える必要があります。しかし、しっかりと将来的なビジネスを見通せるならば、解体業界に参入してみてもいいでしょう。

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