今回は自動車の基礎知識として、定期的に必要になるワイパーのメンテナンスについてご紹介したいと思います。「そもそもワイパーって何?」等といった方は少ないと思いますが、ワイパーとは、フロントガラス部分に取り付けられている自動車部品で、雨の日などに視界を確保してくれる非常に重要な役割を持っているものです。
しかし「ワイパーのメンテナンスを定期的に行っていますか?」という質問をされた場合にはいかがですか?こう質問されると「ワイパーのメンテナンスなんか長らくしていない」と答える人の方が多いかもしれませんね。雨の日に欠かすことのできないワイパーですが、ワイパーには『ゴム』が使用されており、このゴムは消耗品です。最初は雨の日に水分をキレイに取り除き、視界を確保してくれていたワイパーでも、時間が経ってしまうと次第にゴム部分が摩耗したり、ひび割れたりして十分に水分を取り除くことが出来なくなってしまいます。
雨の日に視界が十分に確保できないとなると、重大事故の恐れもあり非常に危険です。したがって、定期的なワイパーのメンテナンスはとても大切な事なのです。そこで今回は、ワイパーのメンテナンス時期の目安や、メンテナンスを行う時の注意点などをまとめてご紹介したいと思います。
知っておこう!ワイパーの構成
まずはワイパーの構造について簡単にご紹介しておきましょう。皆さんは、ワイパーの構造がどうなっているか知っていますか?一言にワイパーと言っても、そこには様々な部品が使用されています。
①ワイパースイッチ、②ワイパーモーター、③リンクアーム、④ピボット、⑤ワイパーブレード、⑥ワイパーアーム、⑦ワイパーゴム
ワイパーは上記の様な7つの部品から構成されており、皆さんがイメージするワイパーとは⑤~⑦が一体になっている目に見える部分となっています。見えている部分を説明すると、ワイパーブレードはワイパーアームとワイパーゴムを繋ぐための部品で、ワイパーゴムをおさえる為のバネが取り付けられており、そのおかげでゴムをしっかりとガラス面に押さえつける事が可能となります。ワイパーブレードのバネが劣化してしまうと、ゴムをガラス面に押さえつける事ができなくなり、ワイパーを動かしたときにガタガタと揺れて、水分を上手に取り除くことが出来なくなります。次にワイパーアームは、ワイパーブレードの動きを支えてくれる部品です。この部品は基本的に金属で作られている為、使用上の劣化はあまりありませんが、錆びてきた場合は交換した方が良いでしょう。
ワイパーゴムはワイパーブレードに付けられている、実際に水分を拭き取る部品です。ワイパーゴムには様々な劣化原因があり定期的な交換が必要になります。ワイパーは上記の様に構成されており、ハンドル近くにあるワイパースイッチをONにするとワイパーモーターが回転し、リンクアームとピボット(支点)を経由してワイパーアームに力が伝わります。
構成をふまえた上でワイパーの役割を考えてみよう
ワイパーがどのような構成になっているのかが分かりましたね。一言にワイパーと言っても、意外と複雑な構造で驚いた方も多いのではないでしょうか?
それでは次に、ワイパーにはどのような役割があるのかという部分をご紹介しておきます。ワイパーは冒頭でご紹介した通り、雨や雪の日に、安全走行を行う為には必要不可欠な装備品です。このワイパーは、フロントウィンドウには必ず装備されており、雨や雪で視界が悪くなった時に、ワイパーに取り付けられているゴムで水滴をふき取る事によって視界を確保する役割を持っています。自動車によっては、自動車後方にもリアワイパーが装備されています。
ワイパーを動作させると、フロントガラスについた水分を全て拭き取っていると思われがちですが、実際にはそうではありません。ワイパーはガラス面に付着した水滴を拭きながら、薄く均一な水の膜を作っています。これは、ガラス面の水分が均一でないと、光が屈折してしまい視界が悪くなるためです。これからも分かる通り、ワイパーゴムの劣化は視界確保の点では見逃せない劣化なのです。
ワイパーの劣化が引き起こす問題とメンテナンス時期の目安
それでは、実際に「ワイパーが劣化してしまうとどのような問題点が出てくるのか?」と「交換時期は何を目安にすればいいのか?」という事をご紹介しましょう。
今までの説明で、ワイパーの劣化による問題は「視界が悪くなる」という事が真っ先に思い浮かぶと思いますが、これはワイパーゴムが劣化している事が大きな要因となっています。ワイパーゴムが劣化すると、ガラス面の水分を十分に拭き取る事ができなくなり、動作させたときに「ガガガ」や「ズズズ」等と音が鳴る様になることがあります。皆さんも経験があるかもしれませんが、これはワイパーのビビリと呼ばれ、一度ビビリ音が鳴ると自然に直る事はほとんどありません。このように音が鳴るのも運転中に気が散ってしまい問題となりますが、何よりガラス面を綺麗にできず、視界確保が上手くできないのは安全走行には大きな問題になります。
他にも、ワイパーゴムが切れてしまい、フロントガラスを傷つけてしまう事もある為、ワイパーに少しでも違和感があったら早めにメンテナンスをすることをオススメします!
ワイパーゴムのメンテナンス時期の目安は?
それでは最後に、ワイパーゴムなどの交換時期の目安をご紹介しておきたいと思います。ワイパーは、雨の日以外はほとんど使う事がありませんし、「使用頻度が少ないから私の自動車は大丈夫!」と思う方もいるかもしれませんね。しかし、ワイパーゴムはその名の通り『ゴム』なので、使用していない場合でも紫外線の影響などで自然に劣化は進みます。
ワイパーゴムのほとんどの製品は、基本的に3年周期での交換を推奨していますが、個人的な感想では「そこまで使えたためしがない」という感じです。したがって『2年程度で交換、走行距離1万キロ程度で交換』など少し早めの交換を自分の中で決めておくことをオススメします。また、以下の様な現象が出たら交換の合図と思いましょう。
- ワイパーを動作させたら異音がする。
- よく見ると、ブレードが微妙に跳ねながら動いている。
- ガラスの一部に水の切り残しがある。
- ガラス面にすじ状に拭き残しがある。
ワイパーは自分で簡単に交換することも可能ですし、カー用品店等に行けば、1000円~2000円程度で販売されているので、メンテナンスにもそこまでお金はかかりません。ただし、ワイパーは車種等により適合しない物もあるので、購入前に自分の自動車で使えるものなのかしっかりと確認するようにしましょう。
ワイパー交換時の注意点
ワイパーは、片側がロック形状になっており、ここをブレードに引っ掛けてあるだけです。基本的に、ワイパーアームのついている方に引っ張り出すだけでワイパーゴムは外せ、取り付ける場合は抜き取った逆の手順で可能です。非常に簡単ですが、「絶対にアーム側からゴムを入れる」と覚えておきましょう。これは、逆側からゴムを付けると、ワイパーを動作させた時に遠心力でゴムが抜ける事があるからです。ワイパーゴムの交換は、ロック位置をしっかり確認してから行ってくださいね!
まとめ
今回は、自動車の基礎知識としてワイパーのメンテナンスについてご紹介しました。
ワイパーは、雨の日に安全走行する為には、非常に重要な装備品であり、ワイパーがまともに動作しなければ視界を確保するのにとても苦労することになります。
しかし、ワイパーの重要性は意外と見落とされがちで、走行距離数万キロの自動車でも一度もワイパーゴムを交換したことがないという方も珍しくありません。ワイパーのメンテナンスは、上述の通り非常に低コストで行う事ができます。低コストで安全が買えると考えると、ワイパーのメンテナンスを怠る事が一番損になるかもしれませんね!