今回は、近年大流行の兆しを見せている『車中泊』について、その守るべきマナーに関して考えていきたいと思います。夏休みや冬休みといった長期休みの際には、自動車でドライブをしながら、各地の旅行を楽しむと言った方は非常に多いと思います。このような場合、現地で宿泊施設を予約しておくと言うのが、本来必要不可欠だったのですが、近年では宿泊施設には泊まらずに車中泊で旅行を楽しむといったスタイルの方も増えているそうです。
このような、車中泊で旅行を楽しむときに非常に便利なのが、24時間開放されている全国各地の『道の駅』や『サービスエリア(SA)』です。道の駅やSAでは、広大な駐車場があるだけではなく、トイレなども必ず併設されていますし、場所によってはコンビニや温泉施設等もあり、車中泊をするには非常に適した条件となっているのです。しかし、忘れてはいけないのは、本来、こういった施設は施設側の好意で開放しているだけの物で、建前上は『車中泊』をしてはいけないという事になっている点です。特に最近では、一部のマナーの悪い利用者のせいで、デカデカと『車中泊禁止!』等と看板を出して、利用に制限を掛ける道の駅等も増えているそうです。
車中泊を行う時には、近隣住民の迷惑にならないように注意して、駐車場を利用させてもらっている感謝の気持ちを忘れないようにしなければいけません。そこで今回は、これ以上『車中泊禁止』の施設が増えない為にも、車中泊を行う時の基本的なマナーについてご紹介していきます。
車中泊スポットではなく本来は休憩所!
皆さんは、「車中泊が出来るスポットは?」と聞かれるとどのような施設が思い浮かぶでしょうか?現在、車中泊に適した場所として頻繁に名前が上がるのが、全国の道の駅や高速道路上にあるSAです。道の駅に関して言えば、2015年には全国でその登録数が1000箇所を超えており、車中泊ファンにとっては非常にありがたい施設となっていますね。
しかし、道の駅やSAと言う施設は、どちらも国土交通省管轄の公的施設で、税金によって設置されている施設となり、同省の見解では、道の駅もSAも『宿泊所ではなく、あくまでもドライバーの休憩所だ!』となっている事を忘れてはいけません。つまり、道の駅やSAの駐車場で車中泊を行うと言う行為自体は、違法行為とは言えないまでも『法的にはかなりグレー』な行為と言う訳です。
現在、道の駅やSAの駐車場で車中泊を行っているドライバーは、「車中泊ではなく、あくまでも仮眠中なのだ」と施設側が好意的に解釈してくれ、取り締まりの対象になっていないだけなのです。しかし、最近では、車中泊をする方のマナーが悪くなっていると言われ、夜間に大声を出すや、車外で火を起こして料理するなど、近隣住民からの苦情も増えており、車中泊自体を禁止する施設も増えています。これ以上、車中泊禁止の施設を増やさない為にも、一般の利用者を優先させ、近隣の住民にも迷惑をかけないよう、マナーを守って車中泊を行いましょう。
車中泊で守るべきマナーは?
どのような施設を利用する時にでも周囲の人に配慮することが必要ですが、車中泊を行う時にも、もちろんマナーが存在します。誰もが「当たり前のことだ!」と思うかもしれませんが、実際に車中泊を行う場合には、知らず知らずに他人に迷惑をかけていると言う事も少なくありません。知らなかったでは済まされない事ですので、しっかりと頭に入れて車中泊を楽しむようにしましょう。
施設ごとに決められたルールを守る
当たり前のことですが、車中泊を行おうと考えている道の駅やSAにも、それぞれ各施設が決めたルールがあります。
例えば、ほとんどの道の駅では、火気厳禁やバーベキュー禁止などと言ったルールが立て看板などに書かれている事でしょう。こういった施設では、基本的に施設内にあるレストランやフードコート、近隣の飲食店などで食事を済ませるか、コンビニなどで用意した軽食を車内で取るようにしましょう。そもそも車外にテーブルを広げ、ガスコンロなどを利用して料理をしたいと言うのであればキャンプ場などに行くべきです。
他にも、施設の電源を無断で利用すると言う事も厳禁ですよ。携帯電話の充電が減っているから等、「ちょっとの電源利用なら問題ないだろう…」と軽く考えて利用する人が多いですが、この行為はれっきとした窃盗行為になってしまいます。
エンジンは必ず停止する
夏場の暑い日や、冬場の寒い日に車中泊を行う場合、エアコンを利用する為にエンジンをかけっ放しにしている方がいますが、これはもっての外です。道の駅の駐車場は、広大な面積があるので問題ないと思っているかもしれませんが、深夜のエンジン音はかなり煩く、近隣の住民にとってはかなりの迷惑行為です。また、近くで車中泊をしている方がいる場合は、もっと迷惑になり、トラブルになるケースも珍しくありません。
車中泊の時にどうしてもエアコンを利用したいのであれば、自分でお金をかけてバッテリーシステムを組み込むなどの対策をしましょう。もしそれが嫌なのであれば、夏場や冬場の車中泊は諦めましょう。
モラルを守る
エンジンのかけっ放しはしない以外にも、人としてもモラルを守って車中泊を行いましょう。例えば、自分が持ち込んだゴミは自分で持ち帰る、深夜にカーステレオなどの鳴り物を使用しない、深夜や早朝に騒がない等、それぞれを聞けば当たり前に思える事が、意外と問題になっている事が多いのです。
特にゴミの持ち帰りは多くの施設で問題視されており、ゴミの放置が原因で車中泊禁止になったと言う施設も多いようです。
一般利用客に配慮する
道の駅やSAという物は、上述の通り、本来、不特定多数の方が利用する休憩が目的の施設です。もちろんのことですが、施設を利用するのは自分たちだけではありませんし、また近隣には多くの方が住んでいるのです。覚えておいて欲しいのは、車中泊をする人の価値観や言い分は、車中泊に興味がない人や、買い物客などの普通の利用者からすれば、『受け入れがたい』『意味が分からない』ものかもしれないと言う事です。
冒頭でもご紹介したように、本来、道の駅やSAは『宿泊所ではない』という認識を持っておくようにしましょう。そうすることで、施設への感謝の気持ちや、車中泊をしない人へ配慮する気持ちも持てるようになるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、近年大流行の兆しを見せている車中泊について、守るべきマナーをご紹介してきました。最近は、全国各地に道の駅が増えている為、車中泊をするスポットに困る事は少なくなっていますね。また、自動車の車内スペースもかなり広くなっている事もあり、自由に行動が出来る車中泊が流行しているのだと思います。
しかし、一方では、車中泊をする人口が増えていくにつれ、車中泊客同士のトラブルやゴミの放置の問題、近隣からの騒音問題に関する苦情など、施設側の頭を悩ませる事柄が増えているのも事実です。上述しましたが、道の駅やSAという物は、「宿泊所ではなく、あくまでも休憩所」と言う建前がある事を忘れてはいけません。上述の様なトラブルが増えてしまえば、好意で開放している駐車場も夜間は閉鎖するしかない等、施設も対応を余儀なくされてしまう事でしょう。そうなると困ってしまうのは車中泊ファンの方なのですから、車中泊を行う場合には、周りに迷惑をかけないよう配慮して、マナーを守って行うようにしましょう。