せっかく積み上げた任意保険の等級。廃車にした後、手放すことになるのは嫌ですよね。
自動車の保険料は補償内容や使用目的など、いろんな要素で算出されます。等級はその要素の一つ。保険事故を起こさなければ、１年に１つ等級が上がります。等級が上がれば上がるほど保険料は安くなります。今回は廃車にした後も、任意保険の等級を手放さないための方法を解説していきます。
等級は保存の場合は「中断証明書」を準備
しばらく車に乗らないけれど等級を保存したい場合、「中断証明書」を発行することで、等級を保存することができます。中断証明書は2種類あり、「国内特則による中断」と「海外特則による中断」があります。期限はそれぞれ、「中断日の翌日から10年」と「出国日の翌日から10年」と微妙に違うので注意しましょう。
「妊娠による中断」というのもありますが、契約している車の車種が二輪や原付で、中断する契約の満期日か解約日までに母子保健法に定める妊娠の届出を行っている場合に限ります。ちなみに、一度保存した等級は保険会社を変えても適用されます。嬉しいポイントですね。なお、中断証明書を発行する条件は保険会社によって異なりますので、予めご確認ください。
「中断証明書」発行の条件
中断証明書（※自動車検査証返納証明書）を発行するためには次の条件を満たさなければなりません。
- 等級が7等級～20等級
- 解約日もしくは満期日までに、譲渡・廃車等をしている
- 解約日もしくは満期日までに、車検が切れている
- 発行手続きが満期日又は解約日から13ヶ月以内
ちなみに、海外渡航に関してはルールが少し異なるので注意しましょう。「譲渡・廃車等をしている事」という条件は不要になりますが、「解約日または満期日から6ヶ月以内に渡航する事」が新たな条件として加わります。中断証明書を発行する場合、こちらの書類が必要です。
- 中断証明書発行依頼書
- 中断前の自動車保険証券のコピー
- 前契約車両の、売却、リース業者へ返還、譲渡、廃車などを証明する書類
「前契約車両の、売却、リース業者へ返還、譲渡、廃車などを証明する書類」に関しては、登録事項証明書、検査記録事項等証明書、売買契約書、車検証、廃車証明書などがあります。
廃車証明書の取得方法
では、「廃車証明書」はどのような手続きを経て、受け取ることができるのでしょう。廃車証明書の取得方法について詳しく解説していきます。ちなみに廃車証明書は正式名称ではなく、普通自動車、軽自動車それぞれに名称があります。
- 【普通自動車】登録識別情報等通知書、登録事項等証明書
- 【軽自動車】自動車検査証返納証明書
廃車手続き手順
まずは車両販売店や整備・解体事業所などに車を引き渡し「使用済自動車引取証明書」を受け取ります。その後、リサイクル業者から解体通知を受けて15日以内に、普通自動車の場合は運輸支局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会にて手続きを行います。解体通知は、廃車を依頼した引取業者に連絡して確認するか、自動車リサイクルシステムＨＰの使用済自動車処理状況検索(車両状況照会機能)で、車台番号下４ケタと登録番号(車両番号)を検索して確認します。ちなみに、15日以内に手続きを行わなかった場合50万円以下の罰金（道路運送車両法第15条1項、同法第109条二号）となるので注意しましょう。申請を行うにはいくつかの書類が必要です。一時抹消登録か永久抹消登録かによって準備するものが違いますので、事前にリストを確認しておきましょう。
永久抹消登録時の準備リスト
永久抹消とはすでに自動車を解体済みであったり、事故や災害などで車が完全に使用できなくなった場合に行う手続きです。車両販売店などに依頼する方法もありますが、もちろん自分でもできます。永久抹消登録には、次のものを準備します。
- 車検証
- ナンバープレート前後2枚
- 車の所有者の3ヶ月以内の印鑑証明書
- 手数料納付書・申請書
- 車検証
- 「解体報告記録日」と「移動報告番号」
「解体報告記録日」は、解体通知に記載されています。「移動報告番号」はリサイクル券（使用済自動車引取証明書） に記載されています。
一時抹消登録時の準備リスト
一時抹消登録は、今後も使うかもしれない自動車の使用を一時的に中止する場合に行う手続きです。一時抹消登録には、次のものを準備します。
- 車検証
- ナンバープレート前後2枚
- 車の所有者の3ヶ月以内の印鑑証明書
- 手数料納付書
- 自動車税納付書
- 申請書
車の所有者が一時抹消登録の受付者と異なる場合、委任状（所有者の実印の押印があるもの）が必要となるので事前に確認しておきましょう。これらの書類を準備し、きちんと手続きを終えることで、やっと廃車証明書を発行してもらうことができます。
まとめ「廃車手続きを業者に任せるのもひとつの手」
任意保険の等級を保存するためには、様々な書類を準備しなければなりません。あれもやって、これもやってと、慣れない煩雑な手続きに手こずるかもしれません。そんなときには、業者に頼むというのもひとつの手です。廃車する場合の任意保険の等級の手続きで一番面倒なものは、「廃車の手続き」です。時間の無駄と感じるならば、業者に依頼してしまいましょう。廃車手続きをしてくれる業者には、車両販売店や廃車買取専門業者などがあります。どちらかというと、廃車買取専門業者がおすすめです。廃車買取専門業者は廃車処理の専門家ですし、場合によっては車を買い取ってくれることもありますよ。インターネット上で業者をまとめているサイトがありますので、検索してみるのもいいかもしれませんね。
