今回は、少しややこしい廃車事例として『相続放棄』をした場合の廃車手続きについてご紹介していきたいと思います。将来的に、誰もがこの状況になる可能性はある物ですので、是非覚えておきましょう!
「親の財産を相続放棄したのだけど、親名義の自動車って廃車できるの?」
「財産を放棄したら、自動車の廃車って出来ない?」
上記の様に、相続放棄をしたのは良いものの、「故人の自動車って勝手に廃車手続きを進めていいものなのだろうか?」と疑問に思う人は多い事でしょう。そもそも、相続放棄した自動車は、誰が所有者扱いになるのか今一わかりませんし、『廃車は所有者の同意が必要』という事に照らし合わせてみると、廃車できそうにないなと思うのも仕方ありません。相続放棄や自動車の廃車手続きという物は、どちらも経験する事などほとんどない為、相続放棄した後の自動車の廃車方法が分からないと言うのは当たり前の事でしょう。
そこで今回は、そもそも相続放棄とは何なのか?や、相続放棄した自動車の扱いはどうすればいいのかについてご紹介します。
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そもそも相続放棄って何?
まずは、相続放棄についてご紹介しておきましょう。カーライフにはあまり関係がない部分ですので、あまり深くはご紹介いたしませんが、廃車の際には必要になる場面も多いため、わかりやすく簡単にご紹介しておきます。
そもそも『相続』は、ある人が死亡した時に、故人の財産を配偶者や子供等の親族が引き継ぐことを言います。この場合、故人の財産を引き継ぐ人の事を『相続人』と言い、相続人が相続の権利を放棄することを『相続放棄』と言うのです。こう聞くと、「せっかく貰えるものなのだから、放棄せずに貰えばいいのに。」と思うかもしれません。しかし、故人の財産を相続する場合には何もプラスになる物ばかりではなく、借金などがあった場合にはそれも合わせて相続しなければいけません。その為、借金などの方が多い場合、相続放棄をすれば借金などの債務を相続しなくて済むので、まとめて相続放棄するといった感じです。
因みに、相続放棄が出来るのは、相続人が相続開始の事実を『知った日』から3ヶ月以内と決まっています。その間にプラスの財産とマイナスの財産を調査したうえで、相続放棄するのか相続するのか決めなければいけません。3ヶ月以内に相続放棄しなかった場合には、自動的に相続する意思があるとみなされる『単純承認』と言う処置がとられます。
相続放棄したのにもかかわらず、相続財産の一部もしくは全部を隠蔽したり消費した場合も、単純承認とみなされてしまいます。その為、故人の自動車の処分は注意が必要なのです。
相続放棄した後の自動車ってどうなる?
『相続放棄』については、分かっていただけましたね。ここでは、プラスの財産とマイナスの財産を計算した結果、相続してしまうと損になる場合は『相続放棄』してしまえばいい程度の認識を持っていただければいいと思います。それでは、相続放棄した後の自動車はどうすればいいのでしょうか?
相続放棄後の自動車には、様々な問題が出てきますので予め知っておきましょう。また、相続関係の手続きが面倒な方は廃車にするのも選択肢の一つです。
まず自動車の名義が誰なのか確認!
まず、故人の自動車の車検証を確認し『所有者』が誰になっているのか確認しましょう。一般的に自動車を購入する際には、一括で購入することは少なく、マイカーローンなどを組んで購入する事がほとんどでしょう。この場合、ローン完済まではローン会社やディーラーなどが所有者になっていると思います。
したがって、相続放棄した後に、自動車のローンが残っている場合で自動車の所有者がローン会社などになっている場合は、廃車の面ではスムーズに進みます。この場合、自動車の廃車は、ローン会社など車検証の所有者欄に記載されている関係各社が手続きを担当するものですので、ローン会社に連絡しましょう。もちろん、相続放棄しているのでローンの残債なども支払う必要はありません。
逆に、ローンの支払いが完了していたり、一括で購入していた場合には『故人』が所有者になっている為、自動車も相続財産の一部と判断されます。その為、価値が高く資産としてみなされる自動車を、相続放棄後に勝手に廃車にすることはできません。
故人の自動車が廃車できなくて困る事
相続放棄した自動車が廃車に出来なくても、それならそれで「放置していればいいじゃん!」等と考える人もいるかもしれませんが、自動車は放置しているだけだとしてもコストがかかる場合があり、非常に困る物でもあるのです。たまに、遺品整理等を受け持ってくれる業者に依頼しようと考える方も多いようですが、基本的に名義がある物に関しては、遺品整理業者は処分してくれません。
相続放棄後の自動車でよくある困りごとは以下の様な物です。
- 駐車場を借りている場合、毎月の駐車場代がかかる
- 自動車の登録が残っている為、毎年自動車税がかかる
- 自宅のガレージだとしてもデッドスペースとなり勿体ない
簡単に考えるだけで上記の様な問題があり、毎月の駐車場などの事を考えると、一日でも早く廃車にしたいと思う事でしょう。
相続放棄した自動車を廃車するには?
それでは最後に、相続放棄した個人の自動車を廃車するにはどうすればいいのかを考えてみましょう。
相続の問題は、相続人全てが『相続放棄』を行った場合、プラスの財産もマイナスの財産も相続する意思はないと示したことになります。この場合、自動車も相続していないのだから、国や自治体等で勝手に処分してくれたら…等と思うかもしれませんが、いくら財産の相続をしなかったとしても自動車の処分を行う『管理責任』からは逃れる事は出来ないのです。したがって、『誰が管理や処分を進めるのか?』についてきちんと決めなければいけません。
相続財産管理人を選任する
上述のように相続人全員が相続放棄した場合や、相続人の存在が明らかではない場合において、管理すべき財産があるときには家庭裁判所に行き、相続財産の管理をする『相続財産管理人』の申し立てを行います。
相続財産管理人とは、遺産を管理する業務を行う人のことで、債権者に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行います。この流れであれば費用は掛かりますが、故人の自動車の廃車は可能になります。
相続財産管理人を選任する為に家庭裁判所への申し立ては、司法書士や弁護士の様な法律家に依頼することになります。
まとめ
今回は、相続放棄した後の、故人の自動車の廃車についてご紹介いたしました。相続放棄した後には、故人の自動車を簡単に廃車にすることが出来ないのは分かって頂けましたね。
本稿でご紹介した通り、ローン残債があり、自動車の所有者がローン会社にある場合などであれば、ローン会社が廃車を担当する為、スムーズに廃車することは可能です。しかし、ローンも完済して故人の名義となっている自動車であれば、相続放棄後にいくら身内だからと言っても勝手に廃車にすることはできません。
もちろん、自動車に全く価値がないと判断されれば『財産』ではありませんので廃車を進める事は出来るのでしょうが、自動車に全く価値がないと言う判断や証明は非常に難しいと言えるでしょう。
したがって、きちんと法律にのっとって処理するよう、司法書士や弁護士などに相談するようにした方が良いでしょう。もちろん、法律事務所などに依頼する場合には決して安い費用ではありません。しかし、勝手に自動車の処分をしてしまうと、相続放棄を取り消されてしまい、故人の借金を返さなくてはいけなくなるなんてことにもなりかねません。また、放置していたとしても自動車税や駐車場代などが継続的にかかってしまうので、結局多額な費用が必要になります。どうせ、継続的に費用が必要であれば、費用がかかったとしても早めに処理した方が良いでしょう!