2018年は台風21号や台風23号など、複数の台風が日本で猛威をふるいました。流通なども止まり、コンビニやスーパーは食材が買い占められるなど、パニック状態に陥りました。公園の並木なども少なからず倒木し、造園業者が対応に追われましたが、被害の矛先は車にも及んでいます。

2011年に東日本大震災が発生した際、契約者と保険会社の地震保険に対する認識の差などからトラブルが続発しました。保険会社の支払能力を超える可能性がゆうにあるため、地震や火山による被害は特約を結ばない限り、自動車保険の対応外です。では、台風による被害は自動車保険の対応内なのでしょうか?

今回はその自動車保険について仕組みの解説も交えながら、皆さんにご説明いたします。

自動車保険の大別

各社によって細かな違いはありますが、自動車保険は基本的に「一般型」と「エコノミー型」に大別されます。プラン名が違っていたとしても、示す範囲は似通っています。

エコノミー型とは

原則、補償範囲は車への損傷に第三者の過失がない場合です。例を挙げますと、火災や台風、落石などによる被害に対応しています。

一般型とは

エコノミーの補償範囲のほか、被害に加害者がいる場合でも応対してくれるのが一般型です。補償範囲が広いので、当然保険料はエコノミー型よりも高めに設定されています。

台風と自動車保険

では今回のテーマである台風による被害ですが、こちらはエコノミー型と一般型の2つに対応しているのでしょうか?

結論から言いますと、対応範囲内です。
2018年度は台風による被害が大きい年のため、被害件数が多いと思うかもしれません。しかしながら交通事故などと比較しますと、例えば2017年の交通事故発生件数は47万2069件ですから、それに比べれば被害数は大きくないと言えるでしょう。そのため保険会社としても、支払うリスクが比較的低くなっております。

台風による2次災害は保証範囲内か?

台風21号の影響により、各地で木々が大量に倒れました。当然、台風の二次災害として倒木の被害に遭った車も存在しますが、それも保険の対応範囲内です。

保険会社の「台風による被害」とは、浸水と横転だけにとどまりません。倒木、落石(落下物)、土砂災害による被害も範囲に含まれます。

台風がきっかけとなった二次自然災害は、自動車保険によって保証される”と覚えておくといいでしょう。

運転手に”過失”がある場合の自動車保険

地震は予測がほぼ不可能ですが、台風であれば事前に予測ができます。例を挙げますと、台風の日に舗装されていない山奥へ向かう、あるいは高潮が予想できる場所に車をもっていった場合に、自動車保険は適用されるのでしょうか?

交通事故には、過失割合というものがあります。信号を無視したのはどちらなのか、緊急車両が事故の発生原因に介在したのか、相手は歩行者なのか自転車に乗っていたのかなどで、細かくパターン化されています。

この過失割合により、支払われる保険料には変化が生じます。

同じようなことが自然災害にも言えて、例を挙げますと、アクサダイレクトの「保険金をお支払いできない主な場合」に「ご契約者、記名被保険者、保険金の受取人またはご契約の自動車の所有者等の故意もしくは重大な過失によって生じた損害」と明記されています。

過去に、自然災害による車両被害で契約者の過失または故意が認められたケースがあるのかは不明ですが、そう見なされる可能性は十分にあるといって良いでしょう。

台風で瓦が飛ばされた場合、家の管理者に責任はあるのか?

落下物による被害の場合、ほぼ間違いなく保険会社からは契約者に補償金が支払われます。しかし、民法717条第1項に、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」とあります。

そのまま解釈すれば、家屋からの落下物などによる被害が生じた場合、家の管理者に賠償責任が生じるように感じますよね。

しかし、この条文中の「瑕疵」というワードが重要で、先述の台風21号による被害のようなイレギュラーな存在の場合は、家の管理者に賠償が請求されることはまずありません。

ただし、毎年のように台風に見舞われる地域で、老朽化した瓦を放置するなどした場合は、損害賠償請求をされる可能性はあります。なぜならば、「必要な注意」を払ったと見なされないからです。

損害賠償を請求するのは誰なのか

保険会社には、契約者から損害賠償請求権が移転しています。先述の瓦による車両被害に、家の管理者の過失が認められた場合、その管理者に保険会社は賠償金を請求することができるのです。

基本的に、任意保険の契約者は個別に賠償責任を追求することができません(慰謝料などは別)。特に、すでに保険金を受領済みでなおかつ損害賠償金を請求するのは詐欺行為と見なされますので、お気をつけください。

台風による人身事故の場合、保険金は発生するか

三井ダイレクト損保は、台風によって他の所有者の車と衝突した場合であっても、自動車保険の対象であると明言しています。しかし、SBI損保の場合は、「台風、大雨、ゲリラ豪雨により契約自動車が他人の車に損害を与えた場合」は保証の対象外としていますので、台風による人身事故については「保険会社による」となります。各人で契約している保険会社に確認することが肝要です。

台風で下がる等級

自動車保険には、等級というものが設定されています。運転手の信用度を数値化したものです。1等級が最低ランクで、最高が20等級です。毎年無事故で契約を更新していけば、等級はどんどん上がっていきます。逆に、毎年事故などを起こしていれば、等級はどんどん下がっていきます※。

※15等級から12等級に移動した場合、等級が3つ下がっている。8等級から9等級に移動した場合は、等級が1つ上がっている。

等級は各社で判断基準が違いますが、長年の蓄積データにより最適化されているので、極端な差はありません。

ソニー損保を例に上げると、歩行者に怪我を負わせる人身事故を一度起こせば、等級は3つダウンです。

無事故なら1等級ずつ毎年アップしていきますが、事故を起こす前の評価に戻るためには3年必要です(少し言葉は悪いですが、”前歴持ち”として扱われます)。

台風や洪水による事故の場合でも等級が下がりますが、こちらの場合は1等級のみです。

なぜ災害時に等級が下がるのか

災害や、あるいは盗難・当て逃げ被害であっても等級が下がります。過失がないのになぜと思われるかも知れませんが、事故が発生したとしても、ほんとうに軽い接触など賠償責任が発生しない場合は等級に影響はありませんから、”保険金が支払われると等級は下がるもの”と認識すればいいでしょう。過去には等級が下がらない契約もあったそうですが、2018年現在では見受けることはほとんどありません。

また、自然災害による被害といっても、台風が来るとわかっている日に車で外に出かけた場合、契約者に負い目がないとは言い切れません。

台風時の水没や落下物に関しても、台風が来るとわかっている日に車で外に出かけた場合は同様です。

まとめ

自動車保険に限らず、保険は「もしも」のために備えるものですが、一度も自動車に傷をつけたことがない方や車上荒らしの被害にあったことがない方、接触事故を起こしたことがない方は少数派ではないでしょうか?

基本的に自動車保険の等級は全社共通であり、保証内容に不満があれば評価(等級)をそのままに移ることも可能なので、契約者の立場が強い保険と言えます。

災害時における保証を重要視する場合は、その内容に最適な保険を見つけて契約することをオススメします。