お国事情が垣間見える、海外の廃車支援制度

「世界は広い」と言いますが、日本に住んでいるとなかなか実感することはないですよね。しかし、テレビやインターネットで見かける世界の文化や習慣に「世界は広い」と実感することもあります。時には、日本にはない法律や制度を耳にすることもあるでしょう。

廃車支援制度にも、異国を感じる制度が存在します。今回は、その中でもお得な補助制度のある海外の廃車制度をご紹介します。

ドイツの環境奨励金

ドイツは世界でも指折りの環境先進国です。世界で初めて自然環境を保護する法律を制定した国であり、国民一人ひとりにエコ精神が根付いています。

そんなドイツで、2009年1月〜12月の間に「環境奨励金」が支給されました。

ドイツは誰もが知る、世界的自動車メーカーが集う国。BMW、ポルシェ、フォルクスワーゲンなど世界に名立たる自動車メーカーを生んだ国です。しかし、そんな自動車産業もリーマンショックの影響で急激に落ち込みました。

これではいけない、と、自動車業界を盛り上げるために政府が打ち出したのが、この「環境奨励金」です。簡単に言うと、古い車を廃車して新しい車を買えば補助金を出しますよというもの。

条件としては「登録後9年以上が経過した古い車を廃棄した上で新車を購入」し、購入する「新車は温室効果ガス排出量の基準値がユーロ4」というものです。

この施策の目的は、自動車産業の経済活性化と雇用促進、エコカー推進による環境問題の改善でした。日本で2009年4月10日から2010年3月31日に施行された「廃車補助金制度」によく似ていますね。

この制度の給付額は、1台当たり2500ユーロ。当時のレートがおよそ1ユーロ130円だったので、325,000円程度になります。

その結果、乗用車の新規登録台数は前年同月比で40%増。15億ユーロの予算枠を大幅に超えて、50億ユーロにまで引き上げたとのことで、結果的にこの制度は成功したようです。

韓国の老朽ディーゼル車早期廃車支援

韓国と聞くと、あまり自動車メーカーのイメージはないかもしれません。

しかし、世界シェアが5位ともいわれるヒュンダイや1990年代に日産から技術提供を受け創業したルノーサムスンなど、世界的な自動車メーカーが存在しています。

そんな韓国で、粒子状物質排出原因の一つと言われている、老朽化したディーゼル車の削減のための施策が2016年に打ち出されました。

この背景には、2020年までにエコカーを普及させたい韓国政府の思惑があります。

実際に李定燮(イ・ジョンソプ)環境部次官は次のような宣言しています。

2020年までエコカーの普及に3兆ウォン、充電インフラに7600億ウォン、老朽ディーゼル車早期廃車に1800億ウォンなどを投入する。

ここでいう老朽ディーゼル車早期廃車の対象というのは、2005年以前に登録されたディーゼル車のうちディーゼル微粒子除去装置を装着していない車のことです。

対象車に出される廃車補助金は、自動車1台あたり最高700万ウォンで、日本円にすると70万円になります。

また、2006年以前に登録されたディーゼル車を廃車して新車を購入する場合には別のメリットもあり、個別消費税を上限100万ウォンで70%まで減免してくれるそうです。

補助金には、その国の思いの強さが見て取れますね。

フランスのボーナス・ペナルティ制度

フランスはドイツや韓国などよりも早く、エコカー推進のための廃車制度を仕組み化しています。「ボーナス・ペナルティ制度」と言って、2007年12月に開始されました。

これは2007年12月5日以降に注文された新車に対して有効な制度で、自動車1km走行当たりのCO2排出に基づいて算出されました。補助金額はCO2の排出量が少ない新車に対して1,000ユーロ、約120,000円を給付。しかし、排出量が多い場合には課徴金が課される仕組みです。

「新しいエコカーなんていらないよ。昔から使い慣れたMT車をずっと使い続けていきたいからね」なんていう人たちを、ドイツや韓国の制度ではどうすることもできませんでした。しかし、フランスでは環境汚染を厭わないドライバーに対して、制裁を加えることができたのです。

加えて、1年後の2008年12月には、後々各国に影響を与えることになる新車購入支援金を開始。10年以上使用した自動車を廃車して新車を購入する場合、1,000ユーロの補助金を交付するするという内容ですが、課徴金を課すという仕組みと相まって大きな影響を及ぼしました。

まとめ「世界で流行ったスクラップインセンティブ」

スクラップインセンティブとは、国家が報奨金を設けて自動車の廃車を促し、国民に新車買い替えの動機付けを行う優遇策の総称です。

自動車の普及率が高い先進国を中心に広まり、日本を含め先に説明したドイツ、フランスやアメリカなどで実施されました。

補助金の直接支払いや減税などが主な内容ですが、中にはフランスのように課徴金を課す国もありました。

時代の変化とともに、どのようなスクラップインセンティブが世界中で行われていくか、今後も注目ですね。