皆さんは、街中を歩いている時や、自動車でドライブをしている時など、ふと目に入った自動車が赤い斜線の入ったナンバープレートを取り付けていて「なんだこれは?」と疑問に思った事はありませんか?
実はこの赤い斜線の入ったナンバープレートは『仮ナンバー』と呼ばれるもので、現在はその存在すら知らない人であっても、将来的には誰でもお世話になる可能性がある物なのです。では、日常生活で「仮ナンバーが必要になる時にはどのような場面があるか?」と、皆さんも気になりますよね!
そこで今回は、「そもそも仮ナンバーとは何か?」や「仮ナンバーが必要になる場面」、「仮ナンバーを使用する時の注意点」等、まとめてご紹介したいと思います。
仮ナンバーとは?
それでは最初に、仮ナンバーとは何か?どんな時に必要になるのか?という点についてご紹介していきましょう。
ほとんどの方が『仮ナンバー』という名称で呼んでいますが、正式名称は『自動車臨時運行許可番号標』と言います。これはその名前からも分かる通り、臨時で運行許可が出されたナンバーで、未登録自動車の新規検査・登録や車検切れ自動車の継続検査を受ける為に陸運支局などに運行する場合、『運行目的・期間・経路』を特定したうえで特例的に市町村などに発行してもらえる物です。仮ナンバーの発行に際しては、臨時運行許可証と共に仮ナンバーが交付されます。
ただし、『運行目的・期間・経路を特定したうえで』とあるように、いつでも発行してもらえるという訳ではなく、仮ナンバーの交付に関しては道路運送車両法にきちんと規定されています。仮ナンバーが発行される主なケースは以下の様な時です。
- 車検切れ車両が継続検査を受けるため
- 一時抹消などした自動車で、『新規検査・新規登録』を受けるため
- ナンバープレートの盗難により、再登録を受けるため
それでは、仮ナンバーが必要になる場面をもう少し詳しく見てみましょう。
車検切れ車両が継続検査を受けるため
まずは『車検切れの自動車』です。自動車を公道で走らせるためには、必ず車検を受けなければいけませんが、うっかりミスや、長期間放置していたといった場合、車検が切れているといった事もある事でしょう。もちろんこのままの状態で公道を走らせてしまうと厳しい罰則がありますので、まずは車検を通す必要があります。このような場合、車検を受ける為に一時的に仮ナンバーを発行してもらい、臨時で公道での運行を許可してもらうのです。
一時抹消などした自動車で、新規検査・新規登録を受けるため
一時抹消登録は、長期間使用しない自動車や、中古車販売店が在庫として自動車を保管する際に行う廃車手続きで、一時抹消登録中は公道での運行が出来ない代わりに税金などの支払いをストップできるのです。
しかし、再度必要になった場合や、自動車を購入してくれたお客様に納車する為には『中古新規登録』と言われる再登録手続きを行わなければいけません。この場合、自動車を運輸支局などに持ち込む必要があるのですが、一時抹消した自動車なのでもちろんナンバーは返納していますね。したがって、こういった時は仮ナンバーを発行してもらい、運輸支局まで持ち込むのです。
ナンバープレートの盗難により、再登録を受けるため
ナンバープレートが盗難に遭った場合や、自動車の盗難被害に遭い、自動車は無事戻ってきたけど、ナンバープレートがなくなっていた…といった場合にも仮ナンバーが必要になります。
自動車は、ナンバーが盗難被害に遭ったとしても、そのままナンバープレートなしの状態で公道を走らせることはできません。万が一、ナンバープレートなしの状態で公道を走ってしまうと、交通違反点数2点に加え、50万円以下の罰金という非常に重い罰則があるのです。
したがって、ナンバープレートを再発行してもらわなければいけませんが、この場合、運輸支局まで自動車を持ち込まなければいけません。
もうお分かりでしょうが、運輸支局に持ち込むために仮ナンバーを発行してもらい、一時的に公道での運行を許可してもらうのです。
仮ナンバーの取得方法
それでは、実際に仮ナンバーが必要になった場合、どのような手順で申請すればいいのかについても触れておきます。
自動車に関する物なので、運輸支局等で申請する物だと勘違いしている人も多いのですが、違います。仮ナンバーは、自動車がある場所から目的地までの運行経路の最寄りにある『市区町村の役所』で申請を行い、発行してもらいます。間違えないように注意してください。また、手ぶらで行くのではなく、必要書類などもたくさんありますので、きちんと用意して二度手間にならないようにしましょう。
仮ナンバーに必要な書類
- 自動車臨時運行許可申請書 (役所の窓口でもらえます)
- 自賠責保険証明書(運行期間中有効なもの)
- 申請者本人を確認できるもの
- 「車検証」「抹消登録証明書」「登録事項等証明書」のいずれか
- 認印
- 手数料印紙(収入印紙) 750円
仮ナンバーの申請には上記の物が必要になります。
一般の方が仮ナンバーを取得する場合は、上記の様な手順で問題なく発行してもらう事が出来ます。ただし、自動車関連業者が取得するディーラーナンバーの場合は、管轄が運輸局及び運輸支局ですので、申請も運輸支局で行います。
仮ナンバー利用時の注意点
それでは、最後に仮ナンバーを利用する時の注意点をいくつかご紹介しておきましょう。普段、あまり利用することのない仮ナンバーですので「知らなかった!」という事も意外と多いと思いますよ。
仮ナンバーには有効期間がある
仮ナンバーは、あくまでも臨時に運行許可を貰えるものですので、有効期間が設定されます。一般的に有効期間は5日ですので、いつまでも使用できると勘違いしないようにしましょう。また、目的が達成できたら有効期間中に返却するように注意しましょう。有効期間経過後5日以内に返却しなかった場合、『6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金』等、厳しい罰則が科せられることがあります。
仮ナンバーの目的外使用はNG
仮ナンバーは、車検などの特定の目的のために発行されるもので、申請時には目的地までの経路も記載しなければいけません。したがって、基本的に運輸支局以外の場所に行くことを想定されておらず、目的外の使用が見つかった場合は警察に捕まったと言う事例もあるのです。
仮ナンバーはきちんと自動車に取り付けましょう。
仮ナンバーは臨時で使用する物なので、わざわざ自動車に取り付けなくてもダッシュボードなど目立つ位置に置いておけばいいと考えている人もいますが、これは間違いです。
仮ナンバーの取り付け位置に関して
引用元: e-Gov
第三十六条 臨時運行の許可に係る自動車は、次に掲げる要件を満たさなければ、これを運行の用に供してはならない。
一 臨時運行許可番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該臨時運行許可番号標に記載された番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示していること。
二 臨時運行許可証を備え付けていること。
上記の様に決められており、つまり、通常のナンバープレートと同じように取り付けたうえ、臨時運行許可証は自動車に乗せておく必要があるのです。
まとめ
今回は、街中で時々見かける事がある、赤い斜線の入った『仮ナンバー』についてご紹介しました。基本的にはあまり、必要になる場面などはないかもしれませんが、絶対にないとは言い切れないのが仮ナンバーの申請です。
本稿でもご紹介している通り、仮ナンバーと言えど細かな部分まで規定されており、罰則規定等もありますので、万が一必要になった場合の為にも覚えておいて損はないでしょう。
日常生活であまり必要となる場面が少ないから「知らなかった…」と言っても、取り締まりを受けた場合には通用しませんので注意しましょう!