今回は、自動車の価値が激減してしまうと言われる『水没車』や『事故車(修復歴車)』について、ご紹介していきたいと思います。水没車や事故車と言う言葉は、多くの方が聞いたことがあると思いますが、実際にこれらの言葉がどのような物を指すのか?また、これらにはどのような違いがあるのか?を明確に知っていると言う方は少ないかもしれませんね。
水没車や事故車と言う言葉から、ある程度はイメージが出来そうなものですが、もちろんこの二つの状態には大きな違いがある物です。しかし、どちらの状態であっても、中古車として売却を考えた場合、ほぼ買取りを拒否されてしまうと言う点では同様ですので、処分の際には困ってしまうことが多いでしょう。今回は、そんな水没車と事故車についてご紹介していきたいと思います。
水没車の基準って何?
それでは最初に、水没車がどのような状態の自動車なのかと言う点からご紹介していきましょう。そもそも自動車という物は、豪雨の中でも普通に走行することが可能ですし、水に濡れたとしても問題ないと考えている人は少なくないかもしれませんね。確かに、雨の日に水たまりの上を走行して『水没車』となり、自動車の価値が下がってしまう等となるとたまった物ではありません。
もちろん、『水没車』と判断され、中古車市場での価値が激減するようになるには、基準という物があります。自動車が『水没した』と判断される基準は、日本自動車査定協会が定めており、『水没車とは室内フロア以上に浸水した車、または浸水の痕跡が複数確認できる車』となっています。これは、マフラーの排気口辺りまで水が達し、自動車の内部まで水の浸入を許してしまうと、自動車に使用されている様々な電子機器等に深刻なダメージを与えるからです。
水没車の価値が下がる理由は?
それでは、なぜ『水没車』は価値が激減してしまうのかも考えてみましょう。自動車が水に浸かってしまったとしても、見た目には大きな傷もありませんし、乾かせば問題ないのでは?と考える人も多い事でしょう。
しかし、自動車が水没してしまう状況は「洪水等で浸水してしまった為…」と言う理由がほとんどですし、この場合、侵入してくる水には海水やゴミなども多く混ざっています。そうなると、塩害で電子機器や配線などがいつ不具合を起こしてしまうか分からなくなってしまいますし、車体に使用されている金属の腐食も早くなってしまい、見えない部分から錆が進行してしまう可能性も高くなるのです。さらに車内に汚れた水が侵入してしまうので、綺麗にクリーニングしたとしても臭いが残ってしまう等の問題も出てきます。このような自動車を、中古車として市場に出したとしても、まず間違いなく買い手は付きませんよね。
水没車は、修理費用も非常に高額になってしまいますし、修理したとしても買い手がつかない可能性が高いとなると、ディーラーや中古車販売店の評価が激減するのも理解できるのではないでしょうか?
水没車は事故車に含まれるのか?
それでは、上述した水没車が『事故車』に含まれるのか?について考えてみましょう。そもそも皆さんは、「事故車って何?」と聞かれるとなんと答えますか?多くの方は、「事故に遭った事がある自動車の事でしょ。」と答えるかもしれませんが、実は中古車市場ではこの答えでは正確ではないのです。中古車市場で『事故車』と表現する自動車という物は、『自動車の根幹をなす骨格部を修理したことがある車』の事を指しており、このような自動車は『修復歴車』として登録され、中古車の中でも非常に価値が低いものと分類されるのです。つまり、あくまでも『骨格部分の修理』を経験しているかどうかが問題なのであり、事故の有無など関係がないのです。
では、水没車が事故車に含まれるのか?と言う点について考えてみると、単純に水没しただけの自動車であれば、冠水歴車として登録され、「事故車には含まれない」が正解でしょう。しかし、水没したことによって骨格部分の修理が必要であれば、『修復歴』もつき、事故車にも含まれると言う扱いになるかもしれませんね。
水没車と事故車の違いは?
それでは、水没車と事故車の違いについても簡単に触れておきましょう。事故車は、上述の通り『修復歴車』として登録されるのですが、水没車に関しては『冠水歴車』として登録されます。このどちらの場合でも、自動車の価値に関しては大きく下がってしまうと言う点では同様ですが、実は『冠水歴車』は修復歴車以上に敬遠される傾向にあるのです。
なぜかと言うと、事故車の場合、どの部分にダメージを受けたのかと言うことがある程度明白に分かるのですが、水没車の場合であれば、どこにダメージがあるのかすら分からないと言う事が原因です。水没車という物は、あらゆる場所に水が侵入してダメージが広がっているものですので、綺麗に修理したように見えても、「いつ?どこで?」故障するか誰にも分からない物なのです。したがって、ディーラーや中古車販売店等は、水没車の買取りに関しては「断る」と言うのが基本姿勢となっていると考えておきましょう。
水没車と事故車は、自動車の価値が激減してしまう、問題が後になって発生する可能性がある等の共通点はあるのですが、より深刻なのは『水没車』と言えるでしょう。その為、扱いは似ているものの、あくまでも全く別物だと言う認識を持っておく方が良いかもしれませんね。
水没車の処分について
最後に水没車の処分について考えてみましょう。近年の自動車という物は、非常に多くの電子機器が搭載されている為、何らかの理由で水没してしまった時には、致命的なダメージを受けると言っていいでしょう。もちろん、修理は可能なのですが、様々な部品交換も必要になりますし、全て部品交換となると信じられないような高額な費用が必要になってしまいます。しかも、たとえ見た目上、綺麗に修理できたとしても、侵入した水は車体を傷め続け、いつ不具合が表面化するかわかった物ではありません。もちろん、自動車を購入したばかりで、比較的水没の被害も少ないと言う状況であれば修理と言う選択肢もありますが、水没の被害が甚大だ…と言う場合には、修理にお金をかけるよりも、自動車を処分して新車の代金にお金を回す方が良いと言えるでしょう。しかし、この様な場合には、「何処に自動車の処分を依頼するのか?」が問題になる事が多いです。
水没車の処分は廃車買取業者へ
処分したいと考えている自動車が『水没車』の場合、ディーラーや中古車販売店に査定をお願いしたとしても、ほぼ間違いなく値段がつく事もなく買取りを拒否されてしまう事でしょう。それだけでなく、業者によっては処分する為に、逆にお金が掛かると言う事も少なくないです。
したがって、このような水没車の処分は廃車買取業者に依頼することをオススメします。大きな被害を受けた水没車だとしても、その中にはまだまだ使用できるパーツもたくさんありますし、車体の鉄やアルミも高額で取引されるものです。廃車買取業者は、このようなパーツや資源を独自のルートで売却できるため、水没車を買い取ったとしても利益を出すことが出来るのです。さらに廃車買取業者であれば、自動車の処分に必要となる廃車手続きも全て無料で行ってくれますし、水没の被害で自走できない場合は、現地まで無料で引き取りに来てくれる業者まであるのです。自動車が、水没の被害に遭った場合には、その水没車を廃車買取業者に売却して、新しい自動車の頭金にするのが賢明なのではないでしょうか!
まとめ
今回は、自動車の価値が激減してしまう『水没車』や『事故車』に関してご紹介してきました。本稿でもご紹介したように、水没車と事故車は、「自動車の価値が激減してしまう…」と言う点に関しては同じと言っていいのですが、そのダメージや処分の事を考えると全くの別物と考えておいた方が良いでしょう。
もちろん、どちらにしても、その自動車を使用し続けると言う事は難しく、ディーラー等にも買取りを拒否されてしまう為、基本的には『廃車』を考えるべきものだと思います。水没車や事故車の場合は、一般的に自走で解体工場に持ち込むのも難しいため、自分で廃車手続きを進める場合には、レッカーの手配など手間もお金も必要になってしまいます。したがって、このような自動車の処分は、廃車買取業者に連絡すると良いでしょう。
上述したように、廃車買取業者であれば、ディーラー等と価値の判断基準が異なる為、二度と使用できない自動車だとしても買い取りしてくれる可能性が高いのです。さらに、処分に必要な廃車手続きも全て無料で行ってくれるため、何の手間もなく自動車の処分が出来ますよ!