皆さんは『シャコタン(ローダウン)』という言葉を聞いたことがありますか?
『シャコタン』と言えば、筆者が高校生ぐらいの時代には、少し「ヤンチャ」な方が自分の自動車に施すカスタマイズで、どちらかというとあまり良いイメージではない物だったような思い出があります。しかし、このシャコタンは平成7年に一部合法化され、現在では合法の範囲で愛車の運動性能を上げるためや、スポーティーなスタイルに改造するために『シャコタン』にする方が増えているそうです。
そこで今回は、そもそも『シャコタン(ローダウン)』とは何なのか?やその仕組み、『シャコタン(ローダウン)』のメリット・デメリット等をご紹介したいと思います。
シャコタン(ローダウン)』とは何か?
それでは最初に『シャコタン(ローダウン)』とはどのような物を指すのか、どういった仕組みなのかといった点をご紹介したいと思います。
『シャコタン』とは「車高短」を表す造語で、つまりは自動車の車高を低くするカスタマイズやそれをした自動車の事を指します。この『シャコタン』は、50年代~60年代のアメリカで流行した、自動車の車高を地面に近いところまで下げて走行する「ローライダー」が起源と言われています。
上述しましたが、日本でも数十年前に非常に流行した歴史がありますが、当時は暴走族などの間で流行したこともあり、『シャコタン』に良いイメージを持つ人が少ないのは、これが原因なのではないでしょうか。しかし、近年では一部合法化されたため、合法の範囲内で自動車の車高を下げる人が増えているそうです。
『シャコタン(ローダウン)』の仕組み
それでは次に『シャコタン(ローダウン)』にするにはどのようにすればいいのか?その仕組みを見ていきましょう。自動車を『シャコタン(ローダウン)』にするには大きく分けて3つの方法があります。
まず一つ目は、『ダウンサス』と呼ばれる方法で、自動車のサスペンションについているスプリングを純正の物よりも短いものに交換して車高を下げる方法です。この方法は、比較的安く、手軽に車高を下げる事ができます。シャコタン用のスプリングも1~3万円程度で販売されています。
次は、『車高調』と呼ばれる方法で、これはサスペンション一式をごっそりと交換する方法です。『車高調』は1mm単位で車高の調整が出来るので、ダウンサスと比較すると高額になりますが、自分の理想を実現するにはこちらの方が良いと言う方も多いです。
最後に、エアサスペンションを採用する事です。エアサスは、通常のバネではなく、エアーで衝撃を吸収する物で、これを利用すれば車内からボタン操作でエアーの調整ができ、車高を調整することができます。
自動車のコイルスプリングを切断することや、車高を極限まで下げる「ノーサス」と呼ばれる方法は違法なのでやめましょう。
『シャコタン(ローダウン)』のメリット・デメリット
『シャコタン(ローダウン)』がどういった物でどういった仕組みなのかはある程度わかっていただけましたね。それでは『シャコタン(ローダウン)』にするメリットとは何なのでしょうか?ここでは自動車の『シャコタン(ローダウン)』にはどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。
『シャコタン(ローダウン)』のメリット
まずシャコタンのメリットとしてあげられるのは、自動車の重心が下がる為コーナリングでの安定感が増すという事があげられます。また、車高が下がる事によって車両下部を通る空気が少なくなる・ダウンフォースが働くなどがあり、高速走行時も車体が安定するようになり、全体的に運動性能が上がると言われています。
運動性能以外では、個人の趣味もありますが、地面と車体の隙間が狭くなることやタイヤとボディーの隙間が狭くなることによってスタイリッシュでかっこよく見えると言う声が多いようです。
また、ミニバンなどの車高が高い自動車などで車高調キットを装着すると、足回りの安定感が増し、振動や騒音を減少させることが出来る為、車酔いが大幅に軽減されると言うメリットも生まれます。
『シャコタン(ローダウン)』のデメリット
シャコタンは、最低地上高90mmを確保して、適正に車高を下げればそこまで大きなデメリットはないと言われていますが、極端なシャコタンはデメリットが多いです。
まず、最も多く言われるのは「乗り心地」が悪くなるという点です。サスペンションは衝撃を吸収する為の物で、要は乗り心地を良くするために装備されているものです。その為、そのサスペンションを短くしてしまうと、どうしても乗り心地は悪くなってしまいます。
他にも、極端なシャコタンの場合、踏み切りや駐車場など、街中の段差に苦労することも多いですし、かまぼこ型の踏切ではまっすぐ進むことが出来ず、周りの自動車に迷惑をかけてしまうといった事もあります。
シャコタンは、見た目やメリットだけに目を向けず、しっかりデメリットの事も考慮し取り入れるようにしましょう。
『シャコタン』って合法なの?
それでは最後に、そもそも『シャコタン(ローダウン)』とはどこまでが合法なのかについてご紹介しておきます。
シャコタンは上述したように平成7年に規制緩和が行われ一部合法化になった物です。それ以前は、勝手にスプリングを交換することや短くすることは違法で、これを行うには陸運支局への届出&認証が必要な改造でした。それでは平成7年に合った規制緩和はどこまでなのかというと、スプリング交換後の自動車のボディサイズが、車検証に記載されている数値の「全高±40mm、全幅±20mm、全長±30mm以内」であれば届出&認証を受ける必要はなく、安全確保の目的としてスプリングの切断は違法、最低地上高90mmは確保する必要はある、と決められました。
この規制緩和以降は、日本国内でも合法的に楽しめる『シャコタン(ローダウン)』が人気になっています。
まとめ
今回は、『シャコタン(ローダウン)』がどういった物なのか、また『シャコタン(ローダウン)』にはどのようなメリットとデメリットがあるのかについてご紹介しました。
最初にも書きましたが、筆者が持つ『シャコタン(ローダウン)』のイメージはどちらかというとあまりいいイメージはなく、暴走族などが行う自動車の違法改造というイメージが根深く残っています。しかし今回ご紹介したように、平成7年以降に定められた規制緩和後の範囲で行われる『シャコタン(ローダウン)』に関しては、完全に合法ですので一概に「シャコタン=違法」という訳ではありません。
『シャコタン(ローダウン)』には、自動車の運動性能を高める効果や、個人の趣味によりますがスタイリッシュな見た目になる為、自動車の改造としては非常に有効な方法の一つと言えるかもしれませんね。しかし、極端な『シャコタン(ローダウン)』は現在でも違法となりますし、乗り心地が著しく悪化するなど、大きなデメリットがありますので、節度ある自動車の改造を楽しむようにしましょう!