自動車の廃車に関しては、多くの方が「自動車をスクラップにして跡形もなくなる」と思っているのではないでしょうか?確かに、「自動車を廃車にする」といった場合は、基本的に事故や買い替えでその自動車を二度と使用しないといった時の事が思い浮かぶでしょうから、廃車にすればその自動車はなくなってしまうと考えるのもおかしな話ではないですね。
しかし、時には「長年、家族で使用した思い出のある自動車だから動かなくても手元においておきたい!」等と思う事もあるでしょうし、そういった場合には『自動車の廃車』をためらってしまう物なのではないでしょうか?
いくら思い出の自動車だとしても、廃車手続き等をせずに自宅に置いていれば、その自動車は税金や自賠責保険の支払いが必要になり、毎年それなりの費用がかかってしまいます。毎年のコストを考えると、やはり廃車にして処分するしかないと思う方も多い事でしょう。
実は、廃車手続きの中には、上記の様に自動車を残しておきたい時に行う手続きがあるのです。今回は、様々ある廃車手続きの中でも、少し特殊な「自動車を残しておきたい」場合の廃車方法をご紹介します。
二度と使わないけど車体は残しておきたい!
それではまず、二度と自動車は使用しないけど、その自動車は手元に残しておきたいといった場合の事について考えてみましょう。皆さんも大きな倉庫を使った飲食店やテーマパークなどに、動かない自動車がオブジェとして置いてあるのは見たことがあるのではないでしょうか?このような自動車は、個人利用ではないし何か方法があるか、税金などはきちんと納めていると思っていたかもしれませんが、実はそうではないです。
『滅失・用途廃止』として廃車する方法
二度と使用する予定のない自動車は『永久抹消登録』という廃車手続きを行います。この『永久抹消登録』は、基本的に自動車の解体を前提とした廃車方法なので、通常の手続きでは自動車は解体され、手元に自動車が残る事はありません。
しかし、『滅失・用途廃止』による永久抹消登録であれば、二度と公道を走らせることはできませんが、自動車を手元に残すことが出来るのです。『滅失・用途廃止』とは、盗難や災害などで自動車がなくなってしまった(滅失)場合や、自動車としての用途は廃止して運行目的以外のオブジェなどで再利用したい場合に、解体せずに永久抹消登録が出来る方法です。
したがって、思い出として車両はガレージなどに保管しておきたいといった場合や、飲食店などでオブジェとして使いたいといった場合は『滅失・用途廃止』による永久抹消登録を行いましょう。
将来的には使うかもしれない自動車はどうする?
それでは次に、将来的にその自動車を使用するかもしれないけど、税金などの無駄なコストを削減したいといった場合について考えてみましょう。上述した『永久抹消登録』は、二度と公道での走行はできなくなる廃車方法ですので、まだ使うかもしれない自動車の廃車には適していません。このような場合には『一時抹消登録』という方法が一般的ですので、いくつかケースをあげてご紹介してみましょう。
一般的な一時抹消登録とは
一時抹消登録とは、その名前の通り「一時的に自動車の登録を抹消し、公道を走れなくする廃車方法」です。この廃車手続きの場合であれば、中古車新規登録という手続きを進める事で再び公道を走らせることが出来ますし、使用中断中は税金や自賠責保険の支払いをストップできるなどの金銭的メリットがあります。
代表的な例を考えると、普段自動車を使用している方が病気や怪我で長期入院が必要になった場合や、海外などへ数年間出張が決まった等、しばらくの間は自動車を使用しないけれど、将来的にはその自動車が必要になると考えられる場合に便利です。
もちろん手続きには、書類を用意する手間や実際に手続きを進める為の時間がそれなりにかかってしまいますが、数年という単位で使用しない場合には一時抹消登録をすることがオススメです。
盗難にあったけど、見つかったらまた使用したい
自動車が盗難にあった場合には、もう帰ってこないと考えて上述のような『滅失・用途廃止』による永久抹消登録を行う場合もあるでしょう。しかし、まだ購入して間もない自動車など、見つかった場合には再度使用したいと思う場合には一時抹消登録を行いましょう。一時抹消登録であれば、税金の支払いをストップする事ができますし、もし見つかった場合には再登録することでその自動車を公道で走らせることが可能です。
因みに、自動車が盗難にあった場合、警察に盗難届を出しておけば税金などの支払いは必要ないと考えているかもしれませんが、そうではありません。税金の支払いなどをストップしたいのであれば、廃車手続きなど、きちんと処理をしておく必要があると覚えておきましょう!
まとめ
今回は、自動車を廃車にしたいけれど、廃車後もその自動車は手元に残しておきたい場合にはどのようにすればいいのかという事をご紹介しました。
本記事の通り、自動車を手元に残しておきたい場合の廃車であっても、将来的にその自動車をどうしたいかによって必要な廃車手続きは異なります。特に、将来的に使用することを考えている自動車に関して、『滅失・用途廃止』による永久抹消登録手続きを進めてしまうと、その自動車は車体があって、まだまだ動く状態だとしても、二度と公道で走行させることが出来なくなってしまします。また、盗難車は基本的にまともな状態で帰ってこないからと、永久抹消登録を進めてしまった場合も同様の事が言えます。
自動車の廃車手続きは、今後その自動車をどうしたいのかを良く考えたうえで最適な廃車方法を選ぶ必要があると覚えておきましょう!