皆さんは、廃車手続きと聞いてどのようなイメージを持ちますか?「ややこしい手続きが必要で面倒くさい」や「廃車手続きは自分で出来ないしお金が掛かる」などのイメージを持っている人は多いかもしれませんね。
確かに廃車手続きという物は、一般の方が何度も経験するようなものではありませんので、進め方すら全く知らないし『難しい物』だと考えるのも仕方ないかもしれません。しかし、何のイレギュラーもなく、通常の流れで行える廃車手続きの場合は、少し調べれば色々な情報も出てきますし、そこまで苦労もなく、自分で進める事も可能です。
しかし、状況によっては、通常の廃車手続きの手順で進める事が出来ない時もあり、このような場合には、スムーズに廃車手続きを進める事が出来ず困ってしまう…なんてこともあるのです。
今回は、スムーズに廃車手続きが進まないケースの中でも『故人の自動車の廃車手続き』についてご紹介したいと思います。このような場合には、通常の廃車手続きを進める前に必要なステップがあるので注意しましょう。
故人の自動車の廃車は必要書類が増える?
それではまず、故人の自動車を廃車するには何か書類が増えるのか?についてご紹介したいと思います。そもそも、自動車の廃車手続きを進める場合には、車検証を提出するのですが、この車検証には「所有者」と「使用者」を記載する欄があります。そして、廃車手続きを進めるには、基本的に『所有者』欄に記載されている名義が本人の名前でなければいけないのです。
では、故人の自動車の場合どうでしょう。「祖父が亡くなったため、祖父が乗っていた自動車を廃車にしたい」といった状況であれば、所有者名義の本人が廃車手続きを進める事はどう考えてもできませんよね。したがって、このような場合には、通常の廃車手続きの流れで廃車をすることが出来ないのです。
故人の自動車を廃車する時に必要な書類
故人の自動車はスムーズに廃車手続きが進められないという事はわかりましたね。それでは、何を用意したらいいのかをご紹介しましょう。
まず、注意が必要なのは、『軽自動車を除いた自動車は資産として扱われる』という事です。どういう意味かと言うと、故人の自動車が普通車の場合には、廃車手続きの前に「自動車を誰が相続するのか?」という事を決めなければならないという事です。相続人が決まれば、やっと廃車手続きを進める事が出来るようになり、通常の書類に加え、以下の書類を用意しなければいけません。
- 遺産分割協議書
- 亡くなった所有者の戸籍謄本
- 除籍謄本
- 相続する方の戸籍謄本
- 相続する方の印鑑証明書
- 相続する方の実印
必要になる書類も多いので、不足のないように注意しましょう。
尚、自動車を廃車する為に相続をしてしまうと、故人の残してしまった負債などもまとめて相続することになります。したがって、相続放棄を考えている場合には注意しましょう。
遺産分割協議書について
それでは本題の『遺産分割協議書』についてご紹介していきましょう。『遺産分割協議書』とは、名称からも分かる通り、故人の財産を相続人の間でどのように分配したのかという事を証明する書類となります。上述したように、自動車も資産とみなされるため、遺産分割協議書の中に記載しなければならないのです。
もちろん、これは廃車せずに誰かが乗り続ける場合も同様で、一度相続する人に所有者を移転しなければいけません。この場合、運輸支局で移転登録を行うのですが、その時にも『遺産分割協議書』は必要になります。
遺産分割協議書の書き方について
それでは『遺産分割協議書』の書き方についてもご紹介していきましょう、自動車の遺産分割協議書は、国土交通省のホームページで無料ダウンロードが可能ですので、そちらを利用してください。
- 所有者が亡くなられた日付を記載します。
- 亡くなられた所有者の氏名を記載してください。
- 協議によって決まった相続人の氏名を記載してください。
- 相続の対象となっている自動車の登録番号と車台番号を記載してください。
- 相続人全員が必ず直筆で住所と氏名を記載してください。また指名の横には実印を押印してください。
自動車に関する遺産分割協議書は上記の様な形で作成してください。ただし、本来は不動産や預金など、全ての遺産に関しての遺産分割協議書を作成する物です。その方が協議内容も一覧で確認することが出来ますし、何度も協議書を作成しなくても済みます。相続財産が自動車だけであれば上記の物を使用すれば問題ないでしょうが、自動車以外にも遺産がある場合には、専門家に相談して全体の遺産分割協議書を作った方が良いかもしれませんね。
まとめ
今回は、スムーズに廃車手続きを進める事が出来ない『故人の自動車の廃車』について、その詳細と『遺産分割協議書』の書き方についてご紹介して来ました。
本稿でもご紹介しているように、自動車の廃車手続きは、様々なイレギュラーの発生も考えられ、そのような場合、何から手を付ければいいのかわからずパニックになってしまう事も考えられます。冒頭でもご紹介しましたが、自動車の廃車手続き自体は、面倒くさい事や時間がかかる事を無視すれば、そこまで苦労なく自分で進める事も可能です。しかし、筆者の考えであれば、『今の時代、自分で廃車手続きを進める事には何のメリットもない!』です。
なぜかと言うと、近年では『廃車買取業者』という物があり、この廃車買取業者であれば、面倒な廃車手続きを全て無料で進めてくれる上に、廃車を予定しているボロボロになった自動車でも買い取ってくれるからです。皆さんは、廃車を業者に依頼すれば、結構な費用を請求されると言うイメージを持っているかもしれませんが、廃車買取業者であれば逆にお金を貰える時代になっているのです。
自動車の廃車が必要になった時には、まずは廃車買取業者に連絡してみてはいかがでしょうか?