レースと言えばオートバイクや競馬などいろいろな種類がありますが、その中でも「自動車レース」は世界各地で行われ、ファンが多く様々な車のメーカーが参入しています。

しかし、自動車レースに参加するには車両の改造するパーツ代に整備費、レースの参加料、サーキットまで運ぶ運搬費、練習費用、レーサーへの報酬など莫大な費用や研究の為の時間がかかります。

そのため多大なコストがかかるにもかかわらず、そうまでしてレースに参加する理由がいくつかあるのです。

自動車レースとは何なのか、メーカーはどんな目的で参加しているのか、順番にご紹介していきます。

レースとは?

日本のみならず各国で行われる自動車レース。

有名なものはF1(エフワン)ことフォーミュラワンです。

自動車の性能や技術、そしてドライバーの運転技術の高さを競うモータースポーツの一つで、日本では三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われていることが知られていますね。

レースという名の通り、いかに速く走り抜けることができるかに重きを置いています。というのも、自動車レースは短距離走ではありません。一周何キロメートルもあるコースを何十周も走るのです。

F1の平均走行距離は300キロメートル

2018年に行われたF1レースの走行距離はほとんどが300キロメートル以上となっています。もちろんストレートなコースだけではなく、多くのカーブが存在します。実際のレースではそういったコースをアクセル全開で、長時間走り続けることになります。

長時間走っているとタイヤが傷んだり、予期せぬトラブルが起こることもあります。自動車レースの最中に車がドライブピットに入るのは、そういったトラブルを解消するためなのです。

ところでレースの参加者はどのような人たちかご存知ですか?

ドライバーの名前が取り上げられることが多いですが、基本的には車メーカーと所属ドライバーが参加しています。つまり、車メーカーがその日のために作ったマシンで参加しているのです。

では、なぜ各車メーカーはわざわざレースに参加するのでしょうか?

それには2つの理由がありました。

車メーカーがレースに参加する2つの理由

1つ目の理由は「車の性能をアップさせるため」です。

車メーカーはレースに勝つ車を作るため、今持てる技術やノウハウ、知識をすべて注いで最高のマシンを作り上げます。その際に培ったノウハウを、わたしたちが普段運転している市販車に落とし込んでいるのです。

レースでは長時間アクセルが全開の状態が続きます。これを限界領域といいますが、限界領域での長時間走行は車にかなりの負担をかけます。それによって、一般道を走っているだけでは見えてこなかった車の壊れやすい部分や痛みやすい部品が現れるのです。

これは強度の求められる製品の落下テストと同じ意味合いを持っています。

こういった壊れやすい部分の特定だけではなく、新たな技術を市販車に採用する前のテストとしてもレースは非常に有効なのです。

例えば、効きの良いブレーキの開発に成功したとします。これを市販車に採用すると、急な飛び出しにも対応できる車になります。また、かなりのスピードを出していてもカーブを曲がれる技術を確立したとすると、交差点を安定して曲がれる市販車を作ることができるのです。

また、レースでは簡単に市販車に採用しづらい高価なパーツも多く使用されているため、そのテストも兼ねています。

レースで勝つということは、その車に使った技術、素材、加工、それらが安全であるという証明にもなるため、自動車レースはわたしたちが安全に運転できるよう各車メーカーが技術を磨く場としても活用されているのです。

2つ目の理由は「レースの宣伝効果」です。

自動車レースはテレビで中継されることも多く、メディア露出の多いイベントです。さらに目に見えてどの車が速いのか分かるため、メーカーの技術力やマシンの性能を効果的に宣伝できる場でもあります。

例えばレースで優勝したメーカーの車と、負けたメーカーの車があったとしたら、あなたはどちらが欲しいと思いますか?

よっぽどメーカーに思い入れが無い限りは、ほとんどの人が優勝したメーカーの車を選びます。

レース、特にF1のような大きなレースで優勝することは、車の技術力が最高のものであると証明することにも繋がるため、結果として私たちが普段運転している市販車の売上向上にも繋がるのです。

また、テレビやメディアで取り上げられるため、レースを実際に見ていない人々にも広く知られることになり、かなりの宣伝効果が期待できます。

なぜわざわざレースをする必要があるの?

走行実験や宣伝効果であれば、自社でのテスト走行やCMでいいのでは?と思う方もいるでしょう。

レースを行う理由は、他社のマシンと競い合うことができるという点、経済効果が大きいという点が挙げられます。

F1の経済効果はおよそ290億円

2009年に鈴鹿F1グランプリ地域活性化協議会が発表した「F1経済効果調査報告書」には2006年に鈴鹿サーキットにて行われたF1グランプリの経済効果がまとめられています。

これによるとF1を招致したことによる日本全体の経済効果は292億9400万円に上るとされており、莫大な経済効果がもたらされることが分かります。

内訳としては、

・観戦チケット購入費…41億5700万円

・交通費…29億4600万円

・お土産購入費…17億9300万円

・飲食費…17億5000万円

・宿泊費…16億8600万円

が主な消費となっています。

鈴鹿サーキット以外の観光地に立ち寄った観客はおよそ12%で、周辺の経済活性化にも役立っているのです。このように、自動車レースは車メーカー同士が切磋琢磨するだけでなく、一大コンテンツとしての役割も果たしています。

まとめ

レースはただ速さを競うだけではなく、レースに参入し勝つことができれば、そのメーカーの大々的な宣伝になります。

また、メーカーが研究し生み出した最新の技術を市販車に落とし込んでレース用の車を作ることができるので、その車でレースを制すことができれば、安全性や品質の保証となります。

レースでは限界領域と呼ばれる最速のスピードを出し、何周もコースをぐるぐると回るので、自然と弱い部位が洗い出されます。

そうして新たな問題の発見につながることもあります。

日本ではモータースポーツとして知名度はあり、自動車レースの盛り上がりは外国で勢いがあると言われていますが、日本でも根強いファンがいます。

あまり興味がなかった方も、今回ご紹介したレースの役割を意識して観戦すると、今までとは違った視点でレースを見られるのではないでしょうか。