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合弁会社でないと販売できない?複雑な中国の車メーカー事情

自動車のマメ知識

同じメーカーの車でも、中国で販売される場合はメーカー名に「長汽」や「一汽」という文字が付いているのをご存知でしょうか。これには中国の複雑な車メーカー事情が絡んでいます。ほとんどの自動車メーカーは中国で自社製品を販売するにあたり、中国との合弁会社を設立しています。

今回はそんな中国の車メーカー事情についてご紹介します。

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世界最大級の市場に君臨するビッグ5

現在、中国が世界でトップクラスの自動車市場を持っていることはご存知の通りです。
当然それに伴い自動車メーカー数も世界トップクラスなのですが、実に数百社以上も存在すると言われますのですごい規模ですよね。実際には常に合併が行われたり、提携や解消が流動的だったりするので、現地の専門家でも実態を把握するのは難しいとされます。そんな刻々と変化する市場において、不動のビッグ5と呼ばれているのが「第一汽車」「東風汽車」「長安汽車」「上海汽車」「奇瑞汽車」です。これらはすべて国営の会社で、多くの海外メーカーと合弁会社を設立しています。

合弁会社を設立する理由

なぜ外国の自動車メーカーは中国市場で自社製品を販売するために、こうしたビッグ5などの合弁会社を設立するのでしょうか。その理由は関税にあります。中国に自動車を輸入する場合、現在非常に高額な関税がかけられています。
つまり中国で現地生産を行わずに輸出のみで商売を行おうとすると、現地ではすべての車種が超高級車価格になってしまうわけです。これでは事業が成り立たなくなってしまいますので、どうしても現地生産が視野に入って来ます。そこで今度は関係して来るのが中国の法律です。中国政府は外国自動車メーカーに中国企業との合弁形態での国内操業を義務付けており、出資についても50%を超えることは認めていません。出資規制については上限を段階的に取り除くという発表もあったばかりですが、どの外国メーカーもこの法律に基づいて操業しています。

そしてこの法に則り、世界に先駆けて中国で合弁会社設立を行い現地生産を開始したのがドイツのアウディでした。アウディが組んだのは国営メーカーである第一汽車で、その甲斐あって中国におけるアウディはドイツ車の中でも一番人気のブランドへと成長を遂げています。まさに先見の明があった成功例と言えるでしょう。

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国営メーカーと民間メーカー

中国メーカーは国営メーカーと民間メーカーとに分けることができます。現在のところ合弁会社を設立している外国メーカーはほとんどが国営メーカーと組んでいますが、メルセデスベンツは民間メーカーとも組んでいます。

ただしここで注意が必要なのが、メルセデスベンツもそうですし、日本のトヨタやホンダ、マツダもそうですが、複数の現地メーカーと合弁会社を設立している点です。つまり、同じ外国メーカーの車でも、中国では別会社の車として製造販売されることになります。このあたりが、より実態を把握しにくい複雑な状況を生み出しているとも言えるでしょう。
例えばトヨタは第一汽車とも広州汽車とも合弁会社を設立しています。形式上両社は別会社となりますが、製造販売しているのは同じくトヨタの車です。

主な合弁企業

それでは中国のビッグ5と主な合弁企業をご紹介しましょう。

第一汽車

アウディ、トヨタ、マツダ

東風汽車

ホンダ、ルノー日産、PSAグループ

長安汽車

マツダ、スズキ、フォード

上海汽車

ボルボ、GM(ゼネラルモーターズ)、VW(フォルクスワーゲン)

奇瑞汽車

ジャガーランドローバー

広州汽車

トヨタ、ホンダ

見るとドイツがかなり積極的なのがわかりますが、メルセデスベンツやBMWなども参入しています。

親会社の買収などでより複雑に

複数社と合弁会社を設立しているだけでも混乱しやすいですが、親会社の合併や買収が行われると事態はより複雑になります。例えばボルボは中国の民間メーカーである吉利汽車が親会社を買収したのですが、現地でボルボが合弁会社を設立しているのは国営メーカーの上海汽車です。しかも中国メーカーは合弁会社の車以外も製造販売していますので、話は余計に複雑になります。近年では自主ブランドのオリジナル性を強く打ち出すためにさらなる自主ブランドの立ち上げも増えていて、ブランドも車種も増大する一方です。もっとも、合弁会社が主に製造販売する外国車は型が古いため、現地で新商品を生み出したいという欲求は大きいでしょう。
外国メーカーとしては最新の車を現地生産すると技術流出のリスクがあるため、致し方無い部分もあります。ただ、メルセデスベンツは人気の現行モデルのみを現地生産していますし、日本のマツダは一汽マツダと長汽マツダで現行モデルの作り分けをしている場合もあります。いずれにせよ現在進行形で流動的に変化している真最中の市場ですから、常に目が離せないことは間違いありません。また追い風が期待されるニュースとしては、中国政府が乗用車分野への外資の出資規制を2018年以降4年以内に撤廃するとしています。なんと言っても世界最大の自動車市場ですから、アクセス改善はグローバル企業にとって大きな期待でしょう。

まとめ

中国で車を現地生産する外国の自動車メーカーは、必ず現地メーカーと合弁会社を設立して操業しなければならない法律となっています。出資にも上限がありますが、これは今後段階的に撤廃される施策が打ち出されたばかりです。すでに複雑な状況を生み出している世界最大市場にどう取り組んでいくのか、目が離せませんね。

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