借金などで生活が立ち行かなくなった場合、法的救済措置として残っているのが自己破産です。
今回は自己破産の条件や自己破産の際に処分しなければならない財産などについて解説し、併せて自己破産時の車の扱いについても解説いたします。

自己破産とは?自己破産の条件について

「破産」という単語は広く知られています。しかし「自己破産」とは具体的にはどういう状態なのでしょうか?

自己破産を簡単に説明すると、「借金を無くすこと」であると言えます。
「借金の返済が不可能である」と法的に認められることで、現在の資産をほぼ全て失う代わりに、債務の返済義務から免責されます。
自己破産の制度を利用するためには、債務があるだけ以外にも、いくつかの条件をクリアする必要があります。

自己破産の条件

自己破産は、裁判所から免責許可が下りなければ行えません。

具体的に解説すると破産法の内容を引用する必要があり、説明が長大になるため割愛しますが、「借金を返せる可能性がある/余力がある」と裁判所から判断された場合、自己破産は認められないのです。

自己破産に関してあまり知らない方は、自己破産に関して「家財やらなんやらを全て差し押さえられる」「借金をチャラにできる」といった漠然としたイメージをお持ちだと思います。そのイメージが全くの的外れというわけではありませんが、自己破産を行うとどうなるかも知っておきましょう。

自己破産をするとどうなるか

自己破産のメリット

まずは自己破産のメリットから。自己破産すると前述の通り、借金がなくなります。

催促の電話や取り立てなどもなくなります。ただ、貸金業者の取り立てをきちんと辞めさせるためには受任通知、あるいは介入通知と呼ばれている文書を作成し、送る必要があります(通常、弁護士さんが代行してくれます)。

自己破産のデメリット

自己破産するならば、資産を処分しなければなりません。

「資産価値を合計しても、借金の返済ができない」という事を示す必要があるからです。

ただ、住む場所も現金も一切合切没収されるというわけではありません。そんな事をしたら、頼る相手がいない人はホームレス生活を送ることになってしまいます。最低限残される財産は99万円までで、これを「自由財産」と言います。

また、自己破産を行ったという記録は残ってしまうため、クレジットカードを利用できなくなります。二度と作成できなくなるというわけではありませんが、最低でも5年間は通常審査に通らなくなってしまいます。「自己破産をすると、しばらくクレジットカードが作れなくなる」と覚えてください。

自己破産で失う財産とは?

自己破産のメリット・デメリットを解説したところで、続いて自己破産によって処分されてしまう財産についても解説します。自己破産によって失われる財産の基本的な基準は「お金になるか」という点です。

つまりは、「売ってお金にできる資産」であれば財産として処分しなければならず、逆に売れそうにないもの(市場価値のないもの)は処分されません。他にも、生活に必要不可欠なものも処分はされません。ブランド品などは別ですが、服などは基本的には残しておくことができます。また、なにも財産というのは「物」だけに限りません。

普通の会社員などであればさほど関係はありませんが、例えば作家や画家などは作った作品に対し「著作権」というものを有しています。著作権、即ち著作に関係する事を判断するための権利と言っていいでしょう。著作権があれば、例えば自身の作品に関係した二次作品などを規制することもでき、また他者による二次創作を公式の物として展開することも可能です。

そしてこの著作権という権利は金銭的価値があります。

例えば何かしら作品同士がコラボしたり、音楽を借りて流す際には著作権料を支払う必要があるといった事を聞いたことはありませんか?つまり著作権というのは作品と作者を守るものでもあり、利益を生むものでもあります。

処分する財産の対象は幅広く、著作権などの金銭的価値のあるものも財産として処分される、というわけですね。

もちろん債権も財産として処分されるため、実物じゃない資産なら大丈夫だというわけではありません。もちろん車だって例外ではありません。むしろ真っ先に処分されてしまうでしょう。

逆に処分しなくても良い財産とは?

「財産」の定義は幅広いため、いちいち処分しなくてはならない物を挙げていてはキリがありません。

そのため、逆に「処分しなくても良い財産」である自由財産に該当するものを解説しましょう。
まず前述した通り、99万円までの現金が自由財産にあたります。
この現金はいわゆる当面の生活費ですね。現代においていきなり一切の現金を持たずに生きていくというのは流石に難しいでしょう。自給自足であっても、ある程度の下地と準備があってこそ可能なのです。

次に、破産手続き開始後に得た財産。

新得財産というもので、逆に言うと開始前の財産が処分される対象になると考えてもいいでしょう。
ただしどんな財産も処分されないというわけではなく、新得財産の中でも差し押さえられることがあるため、何らかの手段で破産手続き開始後に多額の資産を得て借金だけチャラにする、なんて悪どい考えは通用しません。

そして、破産管財人が手放した財産も自由財産になります。

この「破産管財人」とは、破産手続きの際に処分しなくてはならない財産の管理を行う人のことです。
その破産管財人が、これは売れないと手放した財産が手元に残る「自由財産」となります。

自己破産時の車の扱いについて

自己破産において、車はほぼ確実に財産として処分されます。例え車が無ければ仕事ができない、という場合においてもです。
ただ、一応残す方法が無くはありません。

例えばその車を20年以上所有しているといった場合。

つまり売却しても20万円以下になるような車だと、処分を免れる可能性があります。しかし、例えば安い車やぼろぼろになった車でも、購入時にローンを組んでいてかつそのローンが残っている場合は、処分対象になってしまいます。また、ローンが残っている限り所有権はローン会社にありますので、破産手続きの過程で会社に回収されます。車の評価額が20万円を下回りそうなら、親類などからお金を借りて代位弁済するといいでしょう。
また、田舎などで車が生活必需品である場合も、大目に見てもらえることがあるそうです。

そうして車を手放した後、再び購入できるのかと言えば、できる場合とできない場合があります。
というのも、クレジットカード同様にブラックリストに載ってしまうため、ローンを組んで購入することができなくなってしまいます。
ただし、その車を現金で購入できるのであれば、車を再び購入できるようになりますが、自己破産後に車を買えるほどのお金を用意することは難しいでしょう。

車の処分の事前対策として、購入する際に車の名義を両親にしておくという方法もあります。
しかし所有者を変えて処分を免れようとすると、財産隠しとして破産法に違反する恐れがあります。(免責不許可事由に該当する恐れがあります。)

まとめ

以上、自己破産について車の扱いなどを交えながら解説いたしました。

自己破産により車を失う事になりますが、財産隠しは割に合わない行動なのでやめておきましょう。
ギャンブルなどが破産理由であっても、悪質なものでない限り破産の許可が下りる場合もあります。

自己破産はあくまでもマイナスをゼロにして再び社会へと復帰するための手段である、ということを知っておきましょう。