まさにスーパーカーHONDA NSX

ホンダのスーパーカー「NSX」をご存知ですか?2シーターのスポーツカーで、初代NSXは1990年から2006年まで、2016年にはハイブリッドシステムを搭載した新型NSXが発売されました。

この新型NSX、アメリカの工場で生産されています。意外に思われるかもしれませんが、実はこれ、理にかなっているのです。

今回はホンダのスーパーカー「NSX」に焦点を当てて、なぜアメリカに工場が設けられたのか、その経緯などを紹介していきます。

ちなみに、ホンダは本田宗一郎が1946年に静岡県浜松市で本田技術研究所を起業し、後に本田技研工業へ改組した世界的機械工業メーカーです。

自動車だけではなく、二輪車や船外機でも世界首位に立つなど、活躍を続けています。

自動車の生産では、2016年自動車メーカー世界ランキングにおいて販売台数世界第7位にランクインするなど、日本が世界に誇る自動車メーカーのひとつです。

「NSX」とは?どこで作られている?

新型NSXは軽量で美しいボディを持ちながら高い次元での効率的な走りを実現した、電動式の四輪駆動システム搭載のハイブリッドモデルのスーパースポーツカーです。

この次世代スポーツカー「NSX」は、高い技術職人の持つ技と、ホンダの高いシステマティックな技術的アプローチが生み出した成果物だといえるでしょう。

新型NSXは、オハイオ州の工場で作られています。

この生産工場は、ホンダの英国の生産子会社である、ホンダオブアメリカマニュファクチュアリング・インコーポレーテッドによって、約66.5億円を投資して作られました。

名称は「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で、世界でも有数の技術力を持つ工場です。

ホンダはオハイオ州に複数の生産工場を持っていて、これは3番目の四輪生産工場となります。2015年の量産開始を見据え、すでにあったオハイオ工場から100人ほどの従業員を選りすぐりました。ホンダがこの新型NSXに、どれだけ力をいれていたかわかりますね。

2,370万円のスーパーカーは、高い技術で人々を魅力し、2018年時点で1900台以上の売上を記録しました。売上金額は450億円以上。とんでもない数字に達しています。

なぜアメリカで作られているのか

この次世代スーパーカーは、なぜアメリカで作らなければならなかったでしょうか。

日本は自動車製造で高い技術力を持ち、国内にも有名な自動車製造工場をたくさん抱えています。技術力では、アメリカに全く引けを取りません。それでも、ホンダはアメリカに工場を持つことに決めました。

その理由は、「コスト」と「市場」にあります。ひとつずつ説明していきましょう。

日本の電気代はアメリカの3~4倍

レーシングカーなどの多くのスポーツカーは、カーボンの素材を採用しています。カーボンは軽量な上、剛性が高いのでボディ骨格に使うと強度がぐっと増します。

ところが、新型NSXはアルミのスペースフレーム構造を採用しています。アルミは初代NSXでも採用されていました。

なぜ、軽量で強度のあるカーボンではなくわざわざアルミ素材を使うのでしょうか。
その理由は、アルミの性質にあります。

ジュースのアルミ缶を想像していただければわかると思うのですが、アルミはスチールより軽量で柔らかい素材です。そのため、カーボンだと複数使わなければいけない部品を、アルミだとひとまとめにして複雑な部品を作ることができます。通常であれば5個必要な部品が、アルミならひとつで済んでしまうというわけです。

部品が減ると製造コストはもちろん、管理コストも相対的に安く抑えることができます。

しかし材料となるアルミニウムを日本で作ると、かなり高い電気代がかかってしまいます。

アルミニウムは酸化アルミニウムを電気分解することで生成します。そのため、製造過程で大量の電気を使わなければなりません。アルミニウムのコストはほとんどが電気代と言われるほど、製造過程での電気代のコストが大きいのです。

日本の工業用電気料金はアメリカの3~4倍。日本で作るよりも断然アメリカで作るほうが安くなりますよね。そんな理由もあって、日本ではアルミニウムの精製は現在行われていません。

なので、アメリカでアルミニウムを精製することで、コストを1/4も抑えている。
これが、新型NSXの工場をアメリカに持つ大きな理由のひとつです。

アメリカのスポーツカー市場

みなさんは日本の町中でスポーツカーをどれくらい見ますか?

日本はアメリカと違い、広大な平地があるわけではありません。そのため、スポーツカーをバンバン乗り回せる場所が比較的少ない国なのです。

2018年にホンダが発表した販売実績によると、NSXの世界販売台数は1,900台。このうち、半分以上の1,000台がアメリカでの販売だといいます。
一方の日本での販売台数は400台。アメリカの半数にも到達していません。

その市場の規模の違いは明らかです。当然、市場を日本国内に限定する必要がないのであれば、主要な販売場所が近くにある場所で生産するというのは妥当です。

ホンダがアメリカに工場を設けたのは、当然の選択だとも言えるでしょう。

まとめ「増えている国内メーカーの海外生産」

一般社団法人日本自動車工業会によると、日本メーカーの海外生産台数は2009年から8年連続で増えていて、2017年には1,970万台に達しました。

これには、アジアや欧米などの市場規模の拡大、製造コストなど様々な理由がありますが、国内だけで車を製造することがすべてではないということを物語っています。

どうして海外生産をするのか、好きな自動車メーカー事情を紐解いていくのも面白そうですね。