フランス政府とイギリス政府は、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針であると発表しました。環境問題への取り組み意識の高い欧州では、急速に電気自動車への移行が進みつつあります。
今回は欧州での電気自動車への移行についてご紹介いたします。ディーゼル車や電気自動車の解説の前に、車の歴史も併せて紹介いたします。どのように発展してきたのか、そしてこれからどのような未来が待っているのかを想像してみましょう。

「車」の249年に渡る歴史

「自動車」というものが生まれたのは、2018年の249年前である1769年。

ニコラ・ジョセフ・キュニョーという人物が、大砲を運搬するために蒸気で走る車を開発しました。もちろん大砲を乗せて運搬する代物のため、現代的な車の面影はもちろん、「レトロ車」に分類される自動車の面影も見られない、どちらかと言えば荷車のようなデザインです。そして自動車による初の交通事故も、このキュニョーの砲車によるものだったりします。

現在では一般的なガソリン車は、さらに百年進んだ1886年に誕生しました。この1886年から1900年の間に、現在の自動車の原型に近づいていきます。

一例として、ハンドルの形がそれまで棒を掴んで操作する形だったのが、円状のハンドルに。それまでフレームだけの車輪だったが、空気入りのタイヤが発明されて現在の自転車のようなタイヤに。1900年まではガソリン車よりも蒸気自動車が主流でした。

そして1900年代から、それまで貴族の趣味的な存在であった自動車が大衆向けに量産されるようになります。その自動車の大衆向けモデルとして代表的なのが、1908年アメリカで販売開始したフォードT型です。

日本における自動車の普及

1898年に、日本にパナール・ルヴァッソールという自動車が初めて持ち込まれます。これが日本における自動車の開発と研究の始まりです。
そして1904年に、国内第一号の自動車が完成します。

ただこの車はタイヤに問題があったため実用化されることはなく、実用化されたのは1907年に開発された純国産初の自動車によるものが初めてです。
ただ当時の日本の技術では国内量産は難しく、実際に国内で量産が開始したのは1925年から。そのため、先立って自動車の実用化と普及を始めていた欧米とは、質と量ともに大きな差がありました。

電気自動車という存在

2018年現在、国内外に流通しているのはガソリン車やハイブリッド車が主です。電気自動車は近年になって開発がはじまったものだと、一般的には考えられています。
実は電気自動車というものは、ガソリン車よりも古い動力の車だったりします。

つまり、蒸気自動車が生まれ、その次に電気自動車が生まれ、ガソリン車はその次に生まれたのです。
電池自体は1800年に、動力源となるモーターも1821年に発明されており、1899年に世界で初めて100km超えの記録を出したのも電気自動車によるものです。
そんな歴史ある電気自動車ですが、単純に効率やメリット・デメリットの観点から廃れた蒸気機関とは異なり、現行で開発製造されていながら、日本ではほとんど普及していません。

電気自動車の特徴

電気自動車の最大の特徴にして存在意義とも言えるのが、「電力だけで動く」ということ。つまりは化石燃料を使わなくても良いということであり、枯渇に向かっている資源を使わずに節約できるという車です。

他にも、燃焼によってエネルギーを生み出すガソリンエンジンとは異なり排気というものが不要のため、一酸化炭素を放出せずに環境に良いということ。一酸化炭素は排気管が損傷していて車内に充満、そのまま一酸化炭素中毒になるという事件が発生したりするほど危険なもので、その危険性がないというのは安全性にも繋がると言えます。

また車自体の性能で見ても、静音性はガソリン・ハイブリッド車では及ばないレベルのものを実現することができます。

音とは空気の振動です。ガソリン車やハイブリッド車の動力であるエンジンは、ガソリンと空気の混合物に点火し、それが爆発することでエネルギーを生み出しており、エンジンをかけた時のブルルルと言う音は爆発音とも表現できます。音が発生する以上、どうしても振動は発生し、それは車全体に伝わって、車は震えます。

対して電気自動車の場合は電動モーターが駆動するだけなので、ガソリン機関と比較して振動が発生しにくく、結果として揺れない・静かな車になるのです。良いことづくしのように思える電気自動車ですが、長い歴史がありながらも国内外で普及しきっていないのは、デメリットも存在するからです。

充電

1つ目は充電の問題。

電気で動く以上電力が必要で、電気自動車の場合燃料タンクの代わりに大容量バッテリーを搭載していますが、自動車を動かすためには膨大な電力が必要です。
そして蓄電池はガソリン機関よりも寿命が尽きやすいため、交換する機会が多くなってしまいます
ガソリン機関の動力であるガソリンは液体のため、外から内部へ注入するだけですみますが、充電はまたメカニズムが違います。充電には長い時間を要してしまうというのが電気自動車の課題にして欠点です。

性能

2つ目は性能の問題。

電気自動車はガソリン車と比較して、加速性能などに「面白みがない」と言われており、車に特徴を持たせにくいという問題があります。
つまり、よほど技術差があるか特殊な作りでもしていない限り、電気自動車の足回りのスペックは似たようなものになってしまうということを意味します。単純に乗れたらそれでよしという方は問題ないかもしれませんが、車に乗ることを趣味としている方にとっては、乗っててあまりおもしろくないという方も居たりします。

バリエーション

3つ目はバリエーションの少なさ。

電気による動力というものは、それこそガソリン車より昔からありました。しかし、その電気による動力エネルギーよりもガソリンを燃やした時の動力エネルギーの方が大きいため、結局乗り物としての技術が発展したのはガソリン車の方でした。電気自動車というのは資源問題・地球環境に対して、人類が改めて向き直った事で注目され、研究されるようになった分野です。

まだまだ発展途上、開発途中の技術のため、ガソリン車と比較して圧倒的にバリエーションが不足しています。従来のガソリン車と同じデザインの電気自動車を作ればいいと言う方もいますが、そんな簡単な問題でもありません。

欧州では一般的なものになりつつある?

さて、そんな電気自動車を欧州は一般的なものとして普及しようとしています。

電気自動車の普及は国家の主導で行われており、特に北欧などでは電気自動車はブームとなりつつあります。こぞって国民が電気自動車へと乗り換えようとしています。

電気自動車は、いわゆる「環境車」というものです。よりエコで環境に優しい車を利用しようという潮流が強まりつつあり、そして環境車としてメジャーであるハイブリッド車に関しては、日本車が他の国よりも数歩先を行っています。

こういった競争で大事なのは、「自力で太刀打ちできない分野にこだわらない」ということ。日本の自動車業界がハイブリッド車という分野を席巻しているのであれば、逆に日本の自動車業界の手がほとんど届いていない電気自動車に向かう、というのが欧州の競争戦略でもあります。

その結果電気自動車ブームになったと言えます。ここで問題となるのが「電気自動車が従来のガソリン車から移行するほど完成度が高いのか?」ということです。電気自動車最大の弱点や課題は「充電」にあり、これを解決しない事には更なる一般化は難しいだろうと言われています。

電気自動車の充電にかかる時間

では、ここで単純な時間の比較をしてみましょう。

ガソリン車の給油、例えばホンダ・プリウスなどの車種は45リットルの燃料タンクを搭載しています。そして大体給油を行う際、1分で30リットルくらい給油することができます。次に電気自動車の充電、日産リーフSの充電で80%の充電を行う時間はというと、なんと急速充電で40分前後。現在実用化している電気自動車でも、満足に充電しようとするとガソリン車の数十倍の時間を要するのです。充電時間の短縮に関しては、さらなる技術の発展が待たれています。

まとめ

以上、電気自動車とその移行についてを解説しました。

電気自動車が普及しない最大の課題である電池と充電、それこそ電気自動車を24時間走らせるだけの電力を充電するのにかかる時間を長くても5分前後にまで短縮できなければ、電気自動車への完全移行は難しいかも知れません。