パソコンを自作する人は山程いるのに、「自動車を自作した」話はまるで聞きませんよね。もちろん大きさも違いますし、材料費、加工する労力などが違うのは分かります。しかし、暇さえあれば車をいじったりカスタムしている人であっても、車を自作はしません。

自動車の自作はできるのか、そしてそれは公道を走れるのでしょうか?自作車と車検との関係なども合わせ、皆さんにご紹介いたします。

自動車を自作する難しさ

“HJS” Citroen 2CV based kit car

「自作PC」と言っても、実際はすでにあるパーツを組み合わせて作るように、「自作自動車」も販売されているパーツを使います。

キット・カーというものがありますが、こちらは「PC自作」の工程、あるいはプラモデルの形成に近いでしょう。車の製作には金属の溶接や加工を必要としますが、キットカーの制作には通常そのような工程をはさみません。

車種や凝り具合によって違いますが、長ければ完成までにかかる時間は1500時間ほど。毎日2時間費やしたとしても、2年はかかる計算ですね。気の遠くなる話です。中国のある学生は、自作のスーパーカーを九年かけて作ったそうですが、それは特殊な話でしょう。

光岡自動車のように組み立てキットを販売している場合では作成は簡単なのですが、そうではなく自分のイメージ通り車を作ろうとすると、既存のパーツを流用したとしても、数年がかりの作業になるでしょう。

よほど手作業と車が好きな人でないと続きませんし、車が欲しいだけならその時間で働いたほうが得です。

2014年に、ポーランドにマクラーレンのF1のボディを再現しようと、自宅でレプリカを作った男性がいました。しかし、自作したのはフレームとボディであり、エンジンはBMW製です。ただ、本家マクラーレンもエンジンはBMWなので、あまり咎める必要はないかも知れません。

車検に通るのか

日本で自作自動車を車検に通そうと思えば、クラッシュ用の車も用意しなければなりません。また、それでも認可が下りる補償は無いのです。そこまでして自作の車に乗りたい人はあまりいないでしょう。

しかし、海外のように車検がない国、またはあったとしても自作自動車やキットカーに寛容な国などは、自作自動車が珍しくありません。

ですから日本で自動車を自作した場合、その後に海外で認可を受け、並行輸入業者に引き渡してもらう形式がよく取られています。

自動車の自作にかかる費用

上を見ればキリがありませんが、自動車の自作はそれほどお金はかかりません。さきほど話に上げた自作の「マクラーレン」をつくった男性が払ったお金は、当時のレートで340万円と言われています。

また、中国で「スーパーカー」を作った男性は、かかった費用がなんとたったの60万円。しかし、最高速度は60キロなので、内側はスーパーカーとは言えないでしょう。どちらかと言うと、レプリカ車の範疇に入ります。

中国の江蘇省に住む男性が、まともに買えば2億円近くするランボルギーニのレヴェントンを自作したことがありました。ベース車両は日産の車とフォルクワーゲンのサンタナということですが、ボディは完全に自作です。かかった費用は70万円ほどと言われています。

Chinese man creates own Lamborghini out of iron and an old van

中国で、実際のランボルギーニそっくりの車が1000万円で売り出されたことがありますが、ほんものそっくりの完成度を外観だけでも再現しようとすると、膨大なお金と時間がかかります。機械ですべき作業を、人の手を使ってせねばならないためです。

電気自動車はガソリン車よりも自作が簡単?

電気自動車業界が盛り上がっているのは、それまで自動車の製造に関わっていなかった会社でも、参入できるとわかったためです。そして、電気自動車の自作はガソリン車よりも簡単だと言われています。

PCの自作はなぜ車(ガソリン車)の自作よりも簡単なのか言うと、それはパーツとパーツに衝突がないためです。ガソリン車の自作はエンジンの構造上、ピストン運動に頼ってタイヤに動力を伝えなければいけないので、接地点が多く難しいものになります。しかし、電気自動車の場合はそれがありません。バッテリーに蓄えられた電気でモーターを動かし、タイヤを回せば良いだけです。

電気自動車業界に参入を表明しているヤマダ電機やパナソニックなどは、それまで自動車業界の付属品をつくっていた会社です。EV(電気自動車)は充電に時間が掛かる点、運転持続時間に難がある点をのぞけば、いまのところガソリン車の性能を上回っています。

電気自動車が普及すれば、「格安自動車」のように自作車がもっと身近になるでしょう。

光岡自動車が「自動車メーカー」になるまで

光岡自動車の多くの車は、既存の車に改造を施し、販売しています。国内では車メーカーとして扱われていますが、我々がイメージする自動車メーカーとは違いますよね。

光岡自動車は国内で10番目の「自動車メーカー」ですが、登録されたのは1994年です。いかに参入が難しいかおわかりでしょう。1994年にオリジナルの車「ゼロ・ワン」を生産し、これが認可を得ました。

「ゼロ・ワン」にしろ、生産したのは別会社だったわけですが、トヨタの車のエンジンも、ヤマハが作っているものが多くあります。

トヨタのスーパーカーとして有名な「レクサス LFA」ですが、エンジンは1からヤマハが開発しました。クラシックカーとして有名な「トヨタ 2000GT」も、エンジンはヤマハです。

自社でエンジンの開発や製造を行わなくても自動車メーカーになることは可能ですが、その敷居はかなり高いものです。

パイク・カーとキット・カーは違う。

光岡自動車が販売しているのは、「パイク・カー」と呼ばれるものです。現行の車種や「新中古」にあたる車種をクラシックな見た目に改造し、見栄えをよくしたものです。

また、車のチューニングをしても、その車は「パイク・カー」とは呼ばれません。アメリカにヘネシー・パフォーマンスなる会社がありますが、ロータス・エキシージという車をベースに、最高出力1244馬力の車を作りました。ベース車と比べると遥かに飛躍していますね。

実は意外とキットカーは街中で走っている

日本と海外の車検制度は違います。そして、日本で自作されたキットカーは、まず車検に通りません。これはキットカーつぶしをしているわけではなく、車の個人輸入の際にも車検に通らず日本の公道を走れないことはしばしば発生します。

かつて光岡は、最大時速30km程度のコンパクトキットカーを国内向けに販売していました。高速道路などは走れませんが、スクーターあるいは電気自転車ととらえれば問題ないでしょう。完全に時速60km以上出るキットカーの認定は苦難の道程でしょうが、例がないわけではありません。

型式認定の認定難易度

車検とは、販売された自動車が、政府が定めた安全基準をクリアしているか確認するためのテストですが、車は販売される際にも型式認定というテストがあります。

テストの申請は生産前に行えますが、車のテストは生産後にしかできません。自動車が技術基準をパスすれば、その車は販売してもよいことになります。

バイクの自作は自動車よりも簡単

純粋にパーツが少ないのもありますし、基本的には排ガスとエンジンとブレーキに気をつければ、50cc以下の原動機付自転車なら自作したものでも簡単に通るようです。

まとめ

自動車の自作は可能ですが、あまりオススメはできません。私道で走るだけならなにも免許も認定許可も要らないのですが、北海道の奥地に住んでいるわけでもないかぎり難しいでしょう。自動車の自作は、ほんとうに好きな人のための趣味と言えます。