廃車リサイクルのきっかけは関東大震災?

廃車した自動車のリサイクルが、日本で始まったのは大正時代。1923年に起こった、関東大震災がきっかけだという説があります。

関東大震災は近代日本史の中で未曾有の大災害でした。相模湾を震源としたマグニチュード7.9の地震で、多くの建物などが損壊しました。その瓦礫の中には、都会で流行りつつあった自動車の残骸も多くあったのです。

当時、日本で使用されていた自動車のほとんどは、フォードやゼネラルモーターなど外国製で、輸入された部品を国内で組み立てるノックダウン製法で生産されていました。

新しい自動車を作るには、部品を海外から取り寄せなければいけません。その手間とコストは大きく、簡単ではありません。

そこで目を付けたのが、壊れた車の部品でした。使える部品を再利用するなど、自動車リサイクルの最初の形が作られることになりました。もちろん、当時の自動車リサイクルは、現在とは比べ物にならないものです。

今回は、今なお発展し続けている日本の自動車リサイクル技術を紹介するとともに、そのような技術がいかにして発展したのかについて、掘り下げていきたいと思います。

高度な自動車リサイクル技術がなぜ必要になったか

日本は戦後、高度成長経済成長期に入り、急激な技術発展を遂げました。その成果は自動車分野においてめざましく、安価で性能の良い自動車が誰でも気軽に買えるようになりました。国内の自動車保有台数は、1965年には630万台、1967年には1,000万台を突破しました。

しかしながら、車が世の中に増えるということは、当然廃車数の増加につながります。1967年には廃車推定台数が100万台を超え、廃車発生鉄スクラップが80万トン台へ突入しました。

それまではただの廃棄物と見なされていた廃車スクラップも、この頃には鉱源として注目を浴びるようになりました。

商社が経営するスクラップヤード(廃車置場)が話題になり、廃車スクラップを宝の山とみた鉄鋼業界も動き始めます。

こうして活況を帯びてきた自動車リサイクル業界で、鉄スクラップ加工業者を中心に「シュレッダースクラップ」という新しい技術が生まれました。

シュレッダースクラップとは、空間の多い形の鉄スクラップを型に入れて圧縮し、箱型にまとめる加工法です。

それまで廃車プレススクラップを使っていましたが、多くの会社がシュレッダースクラップを使うようになりました。

1982年にはシュレッダーの補助マシンとしてプレシュレッダーによる全処理方法が開発され、廃車処理の中心的な技術となっていきました。

最新技術を用いた自動車リサイクル

ただの鉄屑と見なされていたものを加工して再利用することで、高度成長期以降資源を循環させることに成功しました。

そして現在のリサイクル技術は、「鉄屑をスクラップにする」段階から大きく飛躍しています。

現在のリサイクル技術のひとつに、「レアメタル」のリサイクルがあります。

レアメタルとは、プラチナや金など産出量が少なかったり、貴重で得難かったりする金属の総称です。

車の部品に、そのような貴重な資源が使われていましたが、用するための技術が追いついておらず、再利用できていませんでした。

しかしながらリサイクル技術が発展し、廃車からレアメタルを抽出する技術が現実的になったことで、レアメタルの再資源化に向けた取り組みが活発化しています。

例えば、本田技研工業は2012年、自動車の使用済み部品から、レアメタルを実用レベルで抽出するプロセスを世界で初めて確立しました。

ハイブリッド車のニッケル水素バッテリーからレアメタルを抽出する技術で、回収率は80%と、今までの技術では考えられなかった回収率です。

また、トヨタ自動車も使用済みハイブリッド車のモーター磁石(レアメタル)の リサイクルシステムを構築しました。トヨタのリサイクル技術の発展も世界中から注目を集めていて、世界で最初にネオジウム磁石の回収に成功したことでも知られています。

まとめ「今後のリサイクル技術はどうなるか」

最初の自動車リサイクルは、新しい車を作る材料を得るための、必要に駆られた部品回収でした。それは、やがて事業として発展性があると認知され、経済的メリットを争ってさまざまな会社が動き始めました。

とても興味深い変遷ですね。さらに技術は発展し、今では地球の資源の有効活用という目的をも生み出しています。

今後、自動車リサイクルはどうなっていくのでしょうか。そのうちリサイクルという概念そのものが、全く新しく生まれ変わる日が来るかもしれません。

例えば、テスラ・モーターズは自動車を修理に出さずともソフトウェアが自動アップデートするような仕組みを採用しています。

このようなテクノロジーの発展が、リサイクル技術へどのように影響を及ぼしていくか、今後も目が離せません。