自損事故・他損事故問わず、交通事故が起きた時に車が全損(修理が不可能で乗れないほどの損傷)あるいは大幅な修理が必要という状況になった時でも、保険会社が補償してくれる修理費用は車の時価に対して決まってしまうのはご存知ですか?

たとえ乗っていた車を買い替える必要が出て来ても、かかる購入費用全額を請求できてしまうと、被害者が補償の範囲にとどまらない必要以上の利益を得ることになり兼ねないからです。

これを時価賠償といいます。

そこで乗っている車が市場価値の高いクラシックカーを除いた年代ものの中古車である場合、万が一の事故に備えて知っておきたい修理代のことや、付けておきたい保険の特約についておさらいしておきましょう。

車の時価はどうやって決まる?

時価賠償…自動車事故で修理代が50万円かかるという見積もりがあっても、その車の時価が20万円ならば20万円までしか補償されない制度のことです。

保険会社から支払われる保険金の上限が車の時価まで、となると自分の車の今の価値が気になるところです。

保険会社はどのようにその車の時価を算出しているのでしょうか?

レッドブックを参照する

レッドブックとは「オートガイド自動車価格月報」といい、メーカー・車種・年式・型などをベースに中古車価格の相場となる金額が書かれている専門の雑誌です。

中古車を販売する時の価格の目安にもされる雑誌ですので、保険会社が修理代を補償するのに、会社によって差が発生しないようになっている点も実に合理的です。

レッドブックの他に、イエローブック(日本自動車査定協会が発行している中古車卸売価格が掲載されている雑誌)や、シルバーブック(同じく中古車小売価格が掲載されている雑誌)もありますが、下取り価格から卸売り価格、小売価格の全てを網羅しているのがレッドブックとなっています。

保険会社が中古車の時価を算出する時だけではなく、裁判所でもこのレッドブックを参考に事故の示談交渉などが行われていきます。

一般的に出回っている雑誌ではありませんが、中古車販売をしている業者であれば必ず準備しているはずですので、支払われる修理代に納得がいかない時は自分の車の該当する箇所を提示してもらうこともできます。

新車価格×10%

この計算方法は、レッドブックに載っていないような中古車の場合に適用される計算方法です。

レッドブックに載っている=市場価格があるという意味ですから、載っていないということは市場で取引される可能性がほとんどないことを意味しています。

そのため新車売り出し価格の10%程度が時価の目安となり、当時200万円で購入した車は20万円が時価補償額となります。

これはあくまでも目安であり、その算出方法を下回るケースもあります。

また中古車の中には値が落ちないクラシックカーの部類に入るものがあり、それらはこの算出方法の範囲外です。このようなクラシックカーの場合は、時価の目安が現在も市場で取引されている価格が目安になることが多いようです。

もしも提示された補償金額に納得がいかない時は…

レッドブックはあくまでも目安です。

事故に遭った車の走行距離や、オプションの価値によっては、中古車として価値が残っている場合もあります。

そこで保険会社の時価賠償の金額に納得がいかない時は、インターネットなどの中古車査定を受けて「市場での価値」を理由に交渉する余地はあります。

 

時価を上回る損害を補償してくれる特約保険とは?

自分が入っている保険を使って相手の車の補償に充てる場合、時価以上にかかる修理代を補償してくれる特約もあります。

  • 対物全損時修理差額費用特約
  • 対物超過修理費用特約
  • 対物全損特約

などがそれに当たります。

保険会社によって名称や金額が違っていますので、自分が入っている自動車保険においてその特約がどれになるのか確認してみましょう。

時価を上回る修理代の補償とは言っても、50万円が上限とされていることがほとんどです。

まとめ

どんなに思い入れがあって大切に乗っている車でも、事故が起きた時にその車の時価に相当する修理費用までしか補償されない時価賠償の制度についてはおわかりいただけましたか?

ともすると理不尽に思えるかもしれませんが、事故によって乗っていた車以上の補てんにより、わざと利益を得る人が出てきてしまう方がよっぽど不平等だと思いますよね。

万が一相手の車を全損させてしまっても、保険で補償される範囲を超えて自腹で修理代を支払わなければならない義務は無いとされています。

そのため、加害者と被害者の間で時価賠償が原因で揉めることも少なくありません。

自分の車の修理を十分にするためにも、相手の車へきちんと修理代を支払うためにも、時価を上回る補償をしてくれる特約を付けておくことは大変有効です。

特約自体は数百円で付けられるものが多いので、入っておいて損はない保険と言えそうです。